結核
Online ISSN : 1884-2410
Print ISSN : 0022-9776
ISSN-L : 0022-9776
79 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • とくに胸水中サイトカイン測定の意義について
    青江 啓介, 平木 章夫, 村上 知之
    2004 年 79 巻 4 号 p. 289-295
    発行日: 2004/04/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    結核性胸膜炎は癌性胸膜炎と並び胸水貯留をきたす代表的な疾患である。結核性胸膜炎の診断のため試験穿刺による胸水検査が行われるが, 塗抹, 培養といった細菌学的方法で確定診断が得られることは少ない。Adenosine deaminase (ADA) が感度, 特異度とも高い検査であるが, 膿胸, 慢性関節リウマチに伴う胸水などで上昇する可能性がある。胸腔鏡下胸膜生検は従来の経皮的針生検に比べ有効性が高いが侵襲をともなう。結核性胸水の発症には, マクロファージとヘルパーT細胞1 (Th1) を主体とした遅延型アレルギーが関与しており, 菌体が胸腔内で刺激となって, Th1サイトカインを継続して誘導する。胸水中のINF-γ は胸水発症に重要なだけでなく, 診断においても有用である。われわれのROC曲線を用いた検討でも, 胸水中ADAより感度, 特異度ともすぐれていた。また, 胸水中の複数のサイトカインを同時に測定するcytometric bead array (CBA) はサイトカインネットワークを解析するうえで便利な検査法と考えられた。胸水中の免疫状態の理解とともに侵襲の少なく効率のよい診断法の確立が望まれる。
  • 矢野 修一, 小林 賀奈子, 加藤 和宏, 森田 正人, 龍河 敏行, 池田 敏和
    2004 年 79 巻 4 号 p. 297-300
    発行日: 2004/04/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    [目的] 結核治療のため当院に入院した85歳以上の高齢患者 (以下, 超高齢患者) の特徴を検討した。 [方法] 1996年1月から2003年5月までに当院に結核治療のため入院した超高齢患者84名を対象とし, その病態, 合併症, 予後等について検討した。 [結果] 塗抹陽性率は51.2%と高くなく, ツベルクリン陰性者が26.2%と多く, 空洞例は21.8%と少なかった。合併症では脳血管障害が62.2%と圧倒的に多く, 寝たきりが高率であり, 副作用により死亡が増加した。施設入所者においては塗抹陽性者の率が70%と高かった。 [考案] 超高齢患者では診断が遅れやすく副作用により死亡率が高くなると考えられた。 [結論] 超高齢者結核は診断がつきにくく重症化することが多く, 結核感染対策として重要である。
  • 田村 厚久, 蛇沢 晶, 相良 勇三, 鈴木 純子, 益田 公彦, 馬場 基男, 永井 英明, 赤川 志のぶ, 長山 直弘, 川辺 芳子, ...
    2004 年 79 巻 4 号 p. 301-307
    発行日: 2004/04/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    [目的] 慢性結核性膿胸に合併した胸部悪性腫瘍について検討した。 [対象と方法] 1977年から2002年の問に当院で入院治療を行った, 慢性結核性膿胸に胸部悪性腫瘍を合併した15例を臨床病理学的にレビューした。 [結果] 15例の内訳は男性13例, 女性2例, 平均67歳で, 13例に人工気胸術 (9例) をはじめとする結核手術歴があり, 疾患別には膿胸関連リンパ腫9例, 肺癌4例, 悪性線維性組織球症, 血管肉腫各1例であった。患者の背景因子は各腫瘍間に差異がなかったが, 胸痛や発熱などの症状は膿胸関連リンパ腫症例のほうが他の腫瘍症例よりも明らかであった。いずれの腫瘍も膿胸腔から膿胸周囲に存在したが, 単純X線像ではしばしば腫瘤を認識できず, CTやMRI像をもとに気管支鏡検査や経皮針生検などで診断が得られることが多かった。肺癌はいずれも膿胸壁に接して存在していた。治療や予後に関して, 膿胸関連リンパ腫は切除や化学放射線療法が奏効しやすく, 5年生存率も40%であったが, 他の腫瘍の予後はきわめて不良であった。 [結論] 慢性結核性膿胸患者管理においては種々の腫瘍の発生に留意し, 慎重に観察していく必要がある。
  • 伊藤 邦彦, 吉山 崇, 和田 雅子, 尾形 英雄
    2004 年 79 巻 4 号 p. 309-311
    発行日: 2004/04/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    [目的] 肺結核診断における炎症反応の意義を調査する。 [対象と方法] 2000年1月1日から2001年12月31日の2年間に結核予防会複十字病院で新たに結核として治療を開始した患者のカルテ調査。 [結果] 喀痰塗抹陽性肺結核226例中CRP陰性率は13.3% (95%CI: 8.9-17.7%), 喀痰塗抹陰性培養陽性でのCRP陰性率は73.0% (95%CI: 62.0-84.0%) であった。 [結論] CRP値測定が肺結核の診断に寄与するところは少ないものと推測される。
  • 南 誠剛, 鈴木 克洋, 露口 一成, 坂谷 光則
    2004 年 79 巻 4 号 p. 313-320
    発行日: 2004/04/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    わが国でのMycobacterium xenopi症の報告例は少なく稀な感染症と考えられる。われわれは最近4例の同菌による肺感染症を経験したので報告する。いずれも男性例で年齢は53-72歳である。全例で肺結核の治療歴があり, さらにそのうち2例にはMycobacterium kansasii症の治療歴もあった。起炎菌同定を行った10検体は, すべてMycobacteria Growth Indicator Tube (MGIT) 培養陽性であったが, 小川培地では2検体しか培養が陽性とならなかった。全例isoniazid, rifampicin, ethambutolにて治療を開始しているが, このうち2例はこの3剤にて排菌陰性化が得られた。1例では菌同定後早期にrifampicin, ethambutol, clarithromycinの3剤に変更して排菌陰性化が得られた。最後の1例は両レジメンにても一時的な排菌陰性化が得られたのみで, 後に再排菌した。液体培地や核酸による同定法などの診断技術の発達から本症はわが国でも今後増加してくる可能性があると考えられる。
  • 2004 年 79 巻 4 号 p. 331a
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
  • 2004 年 79 巻 4 号 p. 331b
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
feedback
Top