結核
Online ISSN : 1884-2410
Print ISSN : 0022-9776
ISSN-L : 0022-9776
肺癌を合併した肺非結核性抗酸菌症
田村 厚久蛇沢 晶相良 勇三鈴木 純子益田 公彦馬場 基男永井 英明赤川 志のぶ長山 直弘川辺 芳子町田 和子倉島 篤行小松 彦太郎四元 秀毅
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 79 巻 6 号 p. 367-373

詳細
抄録

[目的] 肺癌を合併した肺非結核性抗酸菌症 (肺NTM症) の特徴を明らかにする。 [対象と方法] 1997年-2002年に経験した肺癌と肺NTM症合併入院症例11例を対象に臨床的検討を行った。 [結果] 11例の内訳は男性10例, 女性1例, 平均66歳で, 5例は肺嚢胞など既存肺の構造変化を有していた。癌の組織型は扁平上皮癌4例, 腺癌, 小細胞癌各3例, III期以上が8例を占め, 抗酸菌症先行群3例と同時発見群8例に分けられた。前者の肺癌は比較的早期で全例切除されたが, 後者の肺癌は大半が進展例で積極的治療例は少なかった。抗酸菌の菌種は M.kansasii (MAC) 6例, M.kansasii 5例で, 肺NTM症の肺癌合併率は25% (11/447例), MAC症で2% (6/300例), M.kansasii 症で8.2% (5/61例) に達し, 肺癌の肺NTM症合併率は1.4% (11/778例) であった。両疾患の位置関係では8例で各々の主病巣が同側肺に存在し, うち4例では同一肺葉内で共存していた。肺NTM症への治療は多くは奏功し, 患者の予後へ影響していなかった。 [結論] 肺癌と肺NTM症の合併は稀ではない。肺癌患者の診療においては肺結核症と同様, 肺NTM症の合併についても注意すべきである。

著者関連情報
© 日本結核病学会
次の記事
feedback
Top