結核
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Mycobacterium avium症の家族内発症例に対する IS1245をプローブとした分子疫学的検討
桑原 克弘渡辺 靖和田 光一土屋 俊晶
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2004 年 79 巻 9 号 p. 519-523

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抄録

[目的] 肺M.avium症は増加傾向にある非結核性抗酸菌症であるが感染様式は未だ明確ではない。家族内でM.aviumに感染した3家族を経験し, その感染菌株が同一株であるか否かを検討した。
[方法] 3家族9例 (うち肺M.avium症6例) に対しM.aviumのDNA多型マーカーであるIS1245をプローブとしたRFLP分析を用いて分子疫学的検討を行った。
[結果] 家族内発症の9例は, 同じ家族内でも症例それぞれで異なる菌株であった。一部の症例では複数菌株が混在, 再感染が起きていると考えられた。また陰影のない未発症の患者家族からもM.aviumは分離され, 家庭環境によっては曝露が日常的に起きている可能性が示唆された。
[考察] 家族内発症は菌の毒力の要因よりは遺伝的抗酸菌免疫力, 局所の抵抗力の減弱, 環境の要因が大きいと推察される。

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