結核
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日本におけるBCG接種による重大な有害事象
戸井田 一郎中田 志津子
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2007 年 82 巻 11 号 p. 809-824

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抄録

1951年の結核予防法大改正によって凍結乾燥BCGワクチンの接種が法制化されてから2004年までに結核予防法によるBCG接種者総数は2億1380万人に達している。そのなかで接種局所および/または所属リンパ節の範囲を超えて身体他部位に重大な副反応が発生した症例を検索し,39症例(接種10万件あたり0.0182件)が同定できた。ほかに,BCGとの関連に疑問があるがBCG接種にひきつづいて起こった重大な有害事象症例として4症例の報告があった。39症例のうち19例では,慢性肉芽腫症(CGD),重症複合型免疫不全(SCID),Mendelian Susceptibility to Mycobacterial Disease(MSMD)などの先天性免疫不全を含め,何らかの細胞性免疫異常が報告されている。死亡の6例には全例に免疫異常が認められている。BCG接種の唯一の機会を逃す子供が生じないように,それと同時に,生後3カ月までの接種を避けて先天性免疫不全児へのBCG接種の危険を回避することができるように,公費によるBCG接種の期間を最短でも生後1年まで延長することが望まれる。

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