顕微鏡
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Print ISSN : 1349-0958
特集:ソフトマテリアルと電子顕微鏡―試料作製とアーティファクト―
ソフトマテリアルのミクロトームを用いた試料調整のアーティファクト
広瀬 治子長澤 忠広
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2022 年 57 巻 1 号 p. 8-12

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抄録

ソフトマテリアルの電子顕微鏡による微細構造解析には,ソフトマテリアルを薄片あるいは断面にする必要があり,多くの場合,ウルトラミクロトームを用いて,超薄切片,断面試料を作製している.バルク試料の中心部を観察する場合は,試料をそのままウルトラミクロトームで超薄切して,電顕観察が可能であるが,バルク試料の表面,フィルム,繊維などを薄膜化するためには,試料を樹脂で包埋して薄切する必要がある.この包埋樹脂の選択は重要であり,その選択を間違えると,本来とは全く異なった構造「アーティファクト」が出現する.ソフトマテリアルを樹脂で包埋する際には,両者の「強すぎない接着」が重要と考えられ,ソフトマテリアルと包埋樹脂のSP値がポイントとなる.また,薄切においても正常な超薄切が行われないと「アーティファクト」につながることがある.本稿では,包埋と薄切によるアーティファクトの例を示し,その回避方法について述べる.

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© 2022 公益社団法人 日本顕微鏡学会
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