顕微鏡
Online ISSN : 2434-2386
Print ISSN : 1349-0958
特集:多次元電子エネルギー損失分光法の展開とその応用
運動量移送分解EELSを用いた光機能性材料の特性解析
佐藤 庸平, 斎藤 興也, 寺内 正己
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2026 年 61 巻 2 号 p. 63-67

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抄録

運動量移送分解電子エネルギー損失分光法(q-EELS)を用いた光機能性材料の解析について紹介する.q-EELSは,電子の非弾性散乱電子のエネルギー損失量だけでなく運動量移送qを分解した計測であり,従来の光学実験では測定が困難な有限波数のプラズモン励起の観測や,吸収強度のq依存性による電子励起状態の局在性評価を可能にする.本研究では,近赤外散乱材料であるLaB6単結晶におけるプラズモンq分散測定を通じて,キャリア電子に働く電子間相互作用の定量評価について述べる.さらに,光触媒材料であるアナターゼ型TiO2のq-EELSスペクトルを定量解析し,励起子に対応する吸収強度のq分布を解析することで励起電子と正孔間の平均距離を導出した.この電子―正孔間距離は,励起子の実空間サイズに対応し,光触媒活性な結晶面との相関が示唆された.これらの結果は,q-EELSが電子励起状態における運動量空間と実空間の情報を結び付け,光機能性の起源解明に有効な手法であることを示している.

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