日本健康教育学会誌
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原著
市町村国保におけるメタボリックシンドローム対策のための積極的支援型保健指導プログラムの一年後の効果評価
村本 あき子加藤 綾子津下 一代
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2010 年 18 巻 3 号 p. 175-185

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抄録

目的:メタボリックシンドローム(MetS)対策としての積極的支援型プログラムの一年後の効果を評価し,保健事業の改善につながる評価指標について検討すること.
方法:あいち健康の森健康科学総合センター近隣の市町国保加入者(25,443名)のうち,健康診査(健診)でMetS関連データ有所見者745例を抽出し,そのうち90例に対し3ヶ月間の積極的支援型プログラムを実施した.終了後は支援を行わず,6ヵ月後,一年後に臨床検査を含む諸検査を実施し,臨床検査値変化,体重減少率,MetS減少率,階層化判定の変化について検討した.また,プログラム完了者のうち翌年健診を受診した56例を参加群とし,対照群としては同地域国保加入者のうち,2年連続健診受診者7,297例より性・年齢,BMIをマッチングした108例を無作為抽出し,両群の健診データ変化を比較した.
結果:プログラム完了者は86例(95.6%,平均年齢59.3歳),開始時,終了時,6ヵ月後,一年後の検査を全て受診したのは75例(83.3%)であった.一年後の一人当たり平均体重減少率は6.5%,MetS該当者減少率は62.5%,積極的支援該当者減少率は41.7%であった.2年連続の健診データ変化において,対照群ではMetS関連指標に有意な変化がみられなかったのに対し,参加群では血圧,トリグリセライド,空腹時血糖値が有意に低下した.
結論:3ヶ月間の積極的支援型プログラムによるMetS減少効果は一年後まで持続することが観察され,非参加者との間で有意な差を認めた.

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