目的:食物摂取は食費と密接に関連している.妊娠中期から後期の食費の内訳と栄養素等摂取量の変化,及び各期の特徴を児の出生体重別に検討した.
方法:群馬県内産婦人科専門病院で出産した112名の妊娠中期と後期の食事記録から食費を算出し,食費及び栄養素等摂取量の変化を検討した.食費の内訳は,外部化支出(外食,惣菜),内食型支出(生鮮食品等),嗜好的支出(嗜好飲料,菓子)に3分類した.児の出生体重で3群(2,500 g未満,2,500 g以上3,000 g未満,3,000 g以上)に分け,共分散分析により群間比較を行った.妊娠中期と後期の変化は反復測定による一元配置分散分析を行った.
結果:1日当たり食費の平均は,妊娠中期1,019円から妊娠後期1,066円に増加し,内訳では内食型支出が増加した.出生体重群別では,1日当たり食費は,3,000 g以上群は増加,2,500 g以上3,000 g未満群は減少,2,500 g未満群では有意な変化はみられなかった.栄養素等摂取量では,すべての群で中期から後期に,エネルギー及び多くの栄養素摂取量が増加した.妊娠中期では出生体重群別に摂取量の差はほとんどなかったが,妊娠後期では,2,500 g未満群が他群に比べ,たんぱく質,食物繊維及び複数のビタミン,ミネラルの摂取量が多かった.
結論:妊娠中期から後期の食費の変化においては内食型支出が増え,栄養素等摂取量も増加した.2,500 g未満群は,妊娠後期には他群に比べ栄養素摂取量は多かったが,児の体重増加には十分ではなかったと示唆された.
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