日本健康教育学会誌
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最新号
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新年のご挨拶
巻頭言
原著
  • 福井 涼太, 河村 春華, 北川 奈実, 星野 萌, 八谷 彩音, 坂本 薫, 中出 麻紀子
    2024 年 32 巻 1 号 p. 3-14
    発行日: 2024/02/29
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

    目的:大学生を対象に野菜料理摂取皿数と関連する経済状況,食習慣,外食・中食における野菜料理選択に対する食意識について居住形態別に検討すること.

    研究デザイン:横断研究

    方法:兵庫県内の1大学に通う大学生1~4年次男女を対象にGoogleフォームを用いた自記式質問紙調査を行った.調査では野菜料理摂取皿数と属性,経済状況,食習慣,外食・中食における野菜料理選択に対する食意識について調査した.野菜料理摂取皿数によって対象者を2群(1日3皿以上/未満)に分け,属性,経済状況,食習慣及び外食・中食における野菜料理選択に対する食意識との関連についてχ2検定,二項ロジスティック回帰分析を行った.

    結果:属性で調整した結果,主食・主菜・副菜の揃った食事の頻度が高い,外食で野菜小鉢を選択,中食で野菜小鉢を選択する一人暮らしの大学生では野菜料理摂取皿数が3皿以上のオッズ比が有意に高かった.家族と同居する大学生では朝食に米飯を食べる頻度が高い,主食同士を組み合わせた食事の頻度が低い大学生において野菜料理摂取皿数が3皿以上のオッズ比が有意に低かった.野菜料理摂取皿数が3皿以上のオッズ比が有意に高かったのは夕食に米飯を食べる頻度が高いことであった.

    結論:本研究で検討した食習慣や食意識のうちの一部と野菜料理摂取皿数が関連することが明らかとなった.また,関連する食習慣や食意識は居住形態により異なることが示された.

  • 宇野 薫, 林 芙美, 武見 ゆかり
    2024 年 32 巻 1 号 p. 15-27
    発行日: 2024/02/29
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

    目的:食物摂取は食費と密接に関連している.妊娠中期から後期の食費の内訳と栄養素等摂取量の変化,及び各期の特徴を児の出生体重別に検討した.

    方法:群馬県内産婦人科専門病院で出産した112名の妊娠中期と後期の食事記録から食費を算出し,食費及び栄養素等摂取量の変化を検討した.食費の内訳は,外部化支出(外食,惣菜),内食型支出(生鮮食品等),嗜好的支出(嗜好飲料,菓子)に3分類した.児の出生体重で3群(2,500 g未満,2,500 g以上3,000 g未満,3,000 g以上)に分け,共分散分析により群間比較を行った.妊娠中期と後期の変化は反復測定による一元配置分散分析を行った.

    結果:1日当たり食費の平均は,妊娠中期1,019円から妊娠後期1,066円に増加し,内訳では内食型支出が増加した.出生体重群別では,1日当たり食費は,3,000 g以上群は増加,2,500 g以上3,000 g未満群は減少,2,500 g未満群では有意な変化はみられなかった.栄養素等摂取量では,すべての群で中期から後期に,エネルギー及び多くの栄養素摂取量が増加した.妊娠中期では出生体重群別に摂取量の差はほとんどなかったが,妊娠後期では,2,500 g未満群が他群に比べ,たんぱく質,食物繊維及び複数のビタミン,ミネラルの摂取量が多かった.

    結論:妊娠中期から後期の食費の変化においては内食型支出が増え,栄養素等摂取量も増加した.2,500 g未満群は,妊娠後期には他群に比べ栄養素摂取量は多かったが,児の体重増加には十分ではなかったと示唆された.

短報
  • 髙泉 佳苗
    2024 年 32 巻 1 号 p. 28-34
    発行日: 2024/02/29
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

    目的:一年間に受けた専門家による健康・栄養に関する教育が食生活リテラシーの向上に影響しているか検討することを目的とした.

    方法:社会調査会社の30~59歳のモニターを対象にweb調査による縦断研究を実施した.ベースライン調査は2018年,追跡調査は2019年に実施した.解析対象者は1,967人であった.食生活リテラシー得点と一年間に専門家(医師,看護師,保健師,栄養士等)から受けた健康・栄養に関する教育回数を調査した.2019年の教育回数から教育なし群と教育あり群に判別した.教育あり群は学習形態別に個別学習群,一斉学習群,個別+一斉学習群に群分けした.群間における食生活リテラシー得点の経時変化を反復測定による2元配置の分散分析で検討した.

    結果:教育なし群と教育あり群における2018年から2019年の食生活リテラシー得点の経時変化に有意な群間差は認められなかった(男性;P=0.268, 女性;P=0.540).学習形態別においても食生活リテラシー得点に有意な群間差は認められなかった(男性;P=0.553, 女性;P=0.692).

    結論:男性と女性において,専門家による健康・栄養に関する教育は食生活リテラシーの向上に影響していなかった.

特別報告
  • 町田 大輔, 坂本 達昭, 中西 明美, 會退 友美, 中村 彩希, 新保 みさ, 岩部 万衣子
    2024 年 32 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 2024/02/29
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

    背景:日本健康教育学会栄養教育研究会は2019年度からナッジをテーマとした活動を継続している.本稿では2022年度の活動として2023年3月25日に開催した公開学習会「はやい!やすい!うまくいく!すぐに使えるナッジの実践術~事例検討でナッジを身につける~」について報告する.

    内容:参加者は40名であった.竹林正樹氏による講義「ナッジで一歩動かす」では,ナッジの基本事項や活用のポイントが説明された.川嶋愛氏と川畑輝子氏からは,実際にナッジを用いた実践事例が報告された.川嶋氏からは小学校における給食時間の配膳・下膳環境の改善,川畑氏からは病院内のコンビニにおける健康的な飲食物の選択を目的とした実践事例が紹介された.その際,現在抱えている課題についても報告され,その課題を解決するためのナッジを考えるグループワークが行われた.学習会に対するアンケート(回答者37名,回答率93%)では,回答者全員が本学習会で新しく学んだことがあったと回答した.学習会に満足したと回答した者の割合は97%であった.

    結論:ナッジを用いた実践事例を紹介し,その内容を踏まえたグループワークを行うことで,参加者のナッジを用いた実践に対する理解をより具体化することが出来た.学習会はナッジと栄養教育の実践との橋渡しに貢献した.

特集:健康教育・ヘルスプロモーション研究のための方法論講座
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