目的:腹圧性尿失禁(SUI)を有する成人女性を対象に非対面で提供する骨盤底筋へのセルフマッサージプログラムにおける自覚的尿失禁への効果検証と半構造化個別インタビューから簡易的かつ継続的に実施可能なSUI予防対策開発に向けた改良点抽出を目的とした.
方法:2022年9月に,埋め込み型混合研究法介入デザインを実施した.ソーシャルネットワーキングサービス(Facebook, Instagram)の利用者に向けて公募し,SUIを有する成人女性40名(量的調査:40名,質的調査:32名)に2週間のコントロール期間後に12週間の骨盤底筋へのセルフマッサージを1日1回以上,週5回以上の頻度で対象者それぞれが自宅等で実施した.介入期間中1, 6, 12週にインタビューを行い,実施方法の忠実性,教材内容と表現,使用機器の適正について調査した.主要評価指標の国際尿失禁会議質問票(ICIQ-SF)は,コントロール期間開始時,ベースライン,介入後4, 8, 12週に調査した.
結果:反復測定一元配置分散分析にてICIQ-SFスコア変化を検討した結果,測定時期に主効果が認められた.多重比較の結果,介入開始時より,介入後4, 8, 12週のICIQ-SFスコアが有意に低かった.インタビュー調査からは,実施方法説明書,使用するボールの大きさ,支援方法への課題が抽出された.
結論:12週間の骨盤底筋へのセルフマッサージは,自覚的尿失禁症状低減に有用である可能性が示された一方,ボールや提供資料の改善が更なる効果向上には必要であることが分かった.
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