日本健康教育学会誌
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原著
病院に勤務する看護師のワークライフバランスと精神的健康度の関連
中井 正美織田 侑里子高橋 侑子田渕 優奈木村 眞子森岡 郁晴
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2011 年 19 巻 4 号 p. 302-312

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抄録

目的:病院に勤務する看護師のワークライフバランス(WLB)が精神的健康度の関連要因であるかどうかを明らかにすること.
方法:A病院の看護師590人を対象にアンケート調査を行った.回収数は507名であり,K6とWLB度,他の変数9項目のすべての質問項目に回答が得られた456名(有効回答率77.3%)を対象に解析を行った.質問項目は,WLBの用語の認知,仕事と家庭の関わり方に関すること,仕事・私生活に関すること,K6による精神的健康度,健康習慣指数,属性等であった.本研究では,仕事と家庭の関わり方の希望と現実との乖離をWLB度とした.K6で9点以上を精神的健康度不良群とした.WLB度と精神的健康度との関連はロジスティック回帰分析を用いて検討した.
結果:看護師でWLBの「名前も内容も知っている」者は456名のうちの8.6%であった.WLB度の高低2群で比較すると,仕事や生活に関する時間には有意差を認めなかった.生活のゆとりを感じる割合はWLB度の高い群(n=350)が低い群(n=106)に比べて有意に高かった(高い群31.1%,低い群16.9%,P=0.006).WLB度(オッズ比 (OR): 0.57, 95%信頼区間 (CI): 0.38- 0.91) は,上司・同僚の支援 (OR: 0.41, 95%CI: 0.23- 0.75),健康習慣指数(OR: 0.29, 95%CI: 0.16- 0.51)と並び,K6と有意に関連していた.
結論:本研究参加者のWLB認知度は低く,WLB度は精神的健康度に関連する危険因子の1つと考えられた.

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© 2011 日本健康教育学会
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