日本健康教育学会誌
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実践報告
食環境整備における食品関連企業・行政・住民組織の連携とその意義
―地域在住高齢者を対象とした食事バランスガイド普及啓発事業の事例から―
高橋 希今井 具子武見 ゆかり
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2012 年 20 巻 Special 号 p. s31-s42

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抄録

目的:食環境整備事業における企業,行政,住民組織による参加型地域活動の連携の意義と課題を特定すること.

方法:地域在住高齢者対象に,コンビニエンスストア店内で食事バランスガイドを活用した弁当の販売,リーフレット配布等による普及啓発,また住民組織対象に,食事バランスガイド学習会と弁当監修に参画する参加型の栄養教育が実施された.連携の意義と課題は以下の方法により特定した.1)事業経過毎の関係機関の関わりと役割の整理,2)質問紙調査による住民組織の食行動等の変化の把握,3)インタビュー調査による企業及び行政担当者の事業の受け止め方の把握.

結果:1)目的,方法決定後に,企業が行政と連携を図り,住民組織の参画を得た.2)学習会及び弁当監修に参画した住民組織高齢者群(以下モニター群)(n=71)は,比較群(n=52)に比べ,事後の食事バランスガイドの理解度,活用する自信,家族・友人と料理・栄養の話題をする頻度が有意に高くなった.3)行政の受け止め方は,良かった点として「弁当の試食・監修による住民組織高齢者の事業への参画」と「自主グループから地域への拡がり」,課題としては企画段階で「参加者にとって身近な存在の協力が必要」であることと,実施後に「行政担当者の事後支援の必要性」があることが特定された.

結論:参加型地域活動の連携の意義としては,住民組織に参加型栄養教育を実施した際の効果が示唆され,課題としては,関係者の連携を事業開始時点から行い,事業後を視野に入れた企画・実施を行うことが重要であると示唆された.

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