日本健康教育学会誌
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原著
女子高校生における子宮頸がん予防ワクチン接種プロセスに関する質的研究
小林 優子朝倉 隆司
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2013 年 21 巻 4 号 p. 294-306

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抄録

目的:女子高校生の子宮頸がん予防ワクチンの接種行動の要因を包括的に明らかにし,生成した概念を相互に関連づけてワクチン接種行動のプロセスを説明する.
方法:神奈川県内の女子高校生26名を対象に,半構造化面接でデータを収集し,M-GTA 法を用い分析した.
結果:38概念とそれらに基づく8カテゴリーを生成した.カテゴリーは,(1)“子宮頸がんや予防ワクチンに関する知識や情報”,(2)“子宮頸がんに対する認識”,(3)“友達からの影響の受けやすさ”,(4)“異性との交際や性行動”,(5)“ワクチン接種に対する自分の気持ち”,(6)“ワクチン接種に影響する家族要因”,(7)“ワクチン接種のバリアとなる要因”,(8)“接種行動につながる調整力”である.接種のプロセスは,“子宮頸がんや予防ワクチンに関する知識や情報” ,“子宮頸がんに対する認識”,“友達からの影響の受けやすさ”,“異性との交際や性行動”が,“ワクチン接種に対する自分の気持ち”に影響し,その気持ちから接種に至る過程において“ワクチン接種のバリアとなる要因”と“ワクチン接種に影響する家族要因”が障壁となる.その障壁への対処には“接種行動につながる調整力”が関与すると説明できた.
結論:女子高校生の子宮頸がん予防ワクチンの接種行動に関わる要因(概念)を包括的に見出し,接種行動のプロセスを説明した.また,プロセスの理論化において“ワクチン接種に影響する家族要因”と“接種行動につながる調整力”が,ワクチン接種を左右する特徴的な要因であると示唆された.

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