日本健康教育学会誌
Online ISSN : 1884-5053
Print ISSN : 1340-2560
ISSN-L : 1340-2560
原著
日本の慢性疾患患者を対象とした服薬アドヒアランス尺度の信頼性及び妥当性の検討
上野 治香山崎 喜比古石川 ひろの
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 22 巻 1 号 p. 13-29

詳細
抄録
目的:慢性疾患患者の服薬継続支援のため,患者の服薬遵守状況以外に医療従事者との関係性や日常生活状況を含めた服薬アドヒアランス尺度を作成し信頼性・妥当性を検討した.
方法:文献検索,服薬が必要な慢性疾患患者及び処方医へのインタビュー結果をもとに項目を作成し,服薬アドヒアランス尺度を作成した.本調査では,複数の慢性疾患の患者会と病院外来でリクルートした薬物治療中の慢性疾患患者888名に自記式質問紙による横断研究を実施し,509名(有効回答率57.3%)を分析対象とした.
結果:探索的因子分析の結果,4因子14項目が抽出された.確証的因子分析の結果,χ2/df=4.4,CFI=0.925,RMSEA=0.047であった.因子名は,「服薬における医療従事者との協働性」,「服薬に関する知識情報の入手と利用における積極性」,「服薬の納得度および生活との調和度」,「服薬遵守度」とした.クロンバックのα係数は,「服薬の納得度および生活との調和度」で0.55とやや低かったほかは,0.74~0.92で内的整合性は確認された.各下位尺度得点と併存妥当性の指標との相関は0.43~0.60で,併存妥当性は確認された.対象者の個人属性・特性と服薬アドヒアランスとの関連性については,既婚,大学卒以上,疾患種類別には,1型糖尿病,リウマチ性疾患群で有意に高く,2型糖尿病で有意に低いという結果がみられ先行研究との比較からも構成概念妥当性が推察された.
結論:一つの下位尺度を構成する一部の項目に改善余地を残しながらも,本尺度は信頼性・妥当性が確認され使用可能性が示された.
著者関連情報
© 2014 日本健康教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top