日本健康教育学会誌
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原著
成人における食べる速さの短期的変化と検査値の関連
冬賀 史織山川 千絵吹越 悠子赤松 利恵
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2015 年 23 巻 4 号 p. 290-298

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抄録

目的:1年間の食べる速さの変化と,体格・身体検査値の変化との関連を検討した.
方法:2009年度,2010年度に特定健診を受診したA健康保険組合員の2年度分の属性,標準的な質問票の回答,身長,体重,検査値の横断調査結果を解析した.質問票の項目「人と比較して食べる速度が速い」に対し,2009年度に「ふつう」または「遅い」と回答し,2010年度も同項目に回答した1,794名(男性825名,女性969名)を解析対象者とした(適格率47.2%).2010年度に食べる速さが「速い」と回答した者を変化群,「ふつう」または「遅い」と回答した者を継続群とし,属性,生活習慣変化を比較した.継続群,変化群の2009年度から2010年度にかけての検査値変化量を,年齢,2009年度の生活習慣,検査値結果を調整し,共分散分析を用いて比較した.解析は男女別に行った.
結果:1,651名(92.0%)が継続群,143名(8.0%)が変化群であった.継続群,変化群の平均年齢(標準偏差)はそれぞれ41.0(8.0)歳,40.0(9.4)歳であり,変化群のほうが低かった(p=0.007).共分散分析の結果,男性では,変化群の方が継続群より,BMI,腹囲の増加量が大きかった(BMI:p=0.020,腹囲:p=0.003).女性も男性同様,変化群の方が継続群より,BMI,腹囲の増加量が大きかった(BMI:p=0.002,腹囲:p=0.002).
結論:1年間で食べる速さが速くなることは,男女ともに,BMI,腹囲の増加と正の関連が認められた.

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