2019 年 27 巻 1 号 p. 3-12
目的:宅配便に従事するドライバーのうち,昼食をほとんど毎日食べている人(positive deviants: PD)の特徴を質的に検討することを目的とした.
方法:2016年11月から2017年2月にかけて,ある運輸会社の宅配に従事する男性ドライバー167名のうち,条件を満たしたPD11名(6.7%)を対象に,1人40分程度の個別インタビューを実施した.インタビューは,半構造化形式で,勤務中の飲食・休憩についてたずねた.解析には,質的統合法(KJ法)を用い,対象者ごとに個別分析を行った後,総合分析を行った.
結果:PDは,仕事が忙しくても時間をみつけて必ず昼食をとっており,おにぎりなど簡単に食べられる昼食を選択するといった工夫がみられた.昼食を摂取するかどうかは労働環境の影響をうけており,昼食摂取を促す要因として,仕事のスキル,勤務における主観的規範,昼食・休憩に対する態度の3つがあげられた.
結論:ドライバー自身の昼食内容の工夫は昼食摂取推進のカギとなる可能性が高い.さらに,ドライバーに昼食摂取を促すためには,仕事のスキル,勤務における主観的規範,肯定的な昼食・休憩に対する態度もまた重要であると示唆された.