日本健康教育学会誌
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原著
食行動・食態度および食事中のスマートフォン等の使用と児童の食に関する主観的QOLとの関連
林 芙美 坂口 景子小岩井 馨武見 ゆかり
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2020 年 28 巻 4 号 p. 245-258

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抄録

目的:児童を対象に食に関する主観的QOL(subjective diet-related quality of life: SDQOL)を用いて食生活の満足度を総合的に評価し,食行動・食態度や児童の食事中に本人や家族がスマートフォン等(以下,スマホ等とする)を使用することがSDQOLとどう関連するかを検討する.

方法:研究デザインは横断研究である.2019年3月,埼玉県S市内の公立小学校3校に在籍する5年生全員を対象に自記式質問紙調査を集合法により実施した.当日欠席者等を除く255名(男子114名,女子141名)を解析対象者とした.食行動・食態度およびスマホ等の使用状況別に対象者を4群に分け,クラスカル・ウォリス検定を用いてSDQOLの合計得点を比較した.

結果:食行動・食態度が良好で且つ食事中に児童本人や家族のスマホ等の使用がまったくないと回答した児童でSDQOLは高かった.しかし,食行動・食態度が良好であっても,家族がスマホ等を使用することがある児童のSDQOLは低かった.また,児童本人や家族が食事中にスマホ等を使用していても,夕食時に自発的な会話があるなどの食行動が良好な児童のSDQOLは高かった.

結論:SDQOLの向上においては,児童の食事中に家族がスマホ等を使用しないこと,また,スマホ等を使用することがあってもコミュニケーションが活発になる環境を整えることが重要であると示唆された.

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