日本健康教育学会誌
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特集:健康教育・ヘルスプロモーションとCOVID-19
COVID-19感染拡大における女子大学生の運動行動に関する心理的要因の検討
赤井 クリ子 足立 学木田 京子澤田 浩中村 泰介藤川 浩喜
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2021 年 29 巻 2 号 p. 207-214

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抄録

目的:COVID-19感染拡大による外出自粛期間中の女子大学生の運動行動に関する心理的要因を検討すること.

方法:2020年4月からS大学で大学共通科目「スポーツ」を履修した255名に研究協力を依頼し,承諾の得られた232名の女子大学生1回生を対象とした.データは大学のシステムを活用したオンライン調査で収集した.有効回答者数は,205名であった.外出自粛期間中の運動行動に影響を及ぼす要因を,混合研究法の収斂デザインで検討した.量的データは,運動に関する心理尺度,運動行動に関する質問,質的データは,外出自粛期間中の運動実施理由と運動内容を自由記述とした.

結果:心理尺度の各項目が,運動実施に貢献している度合いを判別分析により検討した.標準判別係数0.773の「阻害要因への意図」,標準判別係数0.723の「手段的態度」で,運動実施への貢献度が高い.「肯定的感情」,「継続の意図」は負の値を示しており,貢献度は低かった.運動実施の理由では,体,体力,部活,家,自粛,体重,健康,気分を中心とする8つのグループに分類された.

結論:量的研究から,運動の実施には「阻害要因への意図」,「手段的態度」が貢献しており,「肯定的感情」に負の関連が示唆された.質的研究では,運動実施の理由と内容から,部活動の再開や体力・筋力の低下を意識した言語が示され,運動実施の目的が明確であった.すなわち,「阻害要因への意図」を補完する内容が抽出された.

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