背景:幼児の生活習慣の課題は食,睡眠等多岐にわたる.また,親子関係に関しても課題がある.これらは,相互に影響し合うため,総合的な取組が有効である.また,幼児の生活は保護者の影響を強く受けることから,親子で生活改善に取り組む必要がある.しかし近年,共働き家庭の増加や父親の育児参加の広がり等,幼児を取り巻く環境は変化している.著者は親子で生活改善に取り組む健康教育教材の開発や,幼児をもつ母親と父親の食に関する家事・育児に関する研究を実施した.
内容:健康教育教材の開発については,親子で遊びを通して生活改善チャレンジに取り組む教材を作成し,小学校入学を控えた親子の生活改善への取組に対する利用可能性を示した.母親と父親の食に関する家事・育児に関する研究では,母親が実施する「限られた時間の中で食事を準備する対策」を3つに分類し,中でもつくりおきと野菜料理の提供頻度が高いことの関連を示した.また,食に関する家事に参画する父親の認知や就労状況,食事作り経験の特徴を示した.さらに,母親と父親の食に関する家事・育児の協同は幼児の健康な食生活につながることが示唆された.
まとめ:今後も,幼児やその家族の健康な生活習慣形成を目指して,多様化する家庭環境や社会的背景を考慮し,実践的かつ効果的な健康教育を模索するため,研究を進めていきたい.