日本健康教育学会誌
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主観的健康感が高齢者の生命予後に及ぼす影響
岡戸 順一艾 斌巴山 玉蓮星 旦二
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2003 年 11 巻 1 号 p. 31-38

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抄録

目的: 本研究は高齢者における主観的健康感と生命予後との関連を明らかにし, その死亡リスクが有意となる評定段階の検討を目的としている.
方法: 調査方法は地域に居住する60歳以上の在宅高齢者19, 636人を対象に, 1998年7月より郵送法と面接法を併用した調査票による基礎調査を行い, その後, 2000年6月までの生存状況に関する追跡調査を実施した.分析方法は主観的健康感のどのような組み合わせの評定段階間で生存関数に有意な差が見られるかを年齢階級, 治療中疾病数, 手段的自立度を共変量とした比例ハザードモデルにより性別に検討した.
結果: 主観的健康感が「健康でない」と回答した者の死亡に対するハザード比は, 「とても健康である」, 「まあまあ健康である」, 「あまり健康ではない」と回答した者をまとめた群と比較して, 男性で3.45 (95%CI: 2.25-5.30) , 女性で2.38 (95%CI: 1.34-4.22) と統計学上有意に高かった.また男性のみ「あまり健康ではない」と回答した者のハザード比は, 「とても健康である」, 「まあまあ健康である」と回答した者をまとめた群と比較して, 1.69 (95%CI: 1.02-2.82) と有意に高かった.
結論: 男女とも主観的健康感が「健康でない」と回答した者の死亡リスクは, それより肯定的な回答をした者より高いことが見出された.さらに女性に比べて男性で生命予後に対する主観的健康感の影響が大きいことが見出された.

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