日本健康教育学会誌
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高齢者を対象とした介護教室におけるグループワークでの相互作用
―高齢者の自己評価をとおして―
澤田 いずみ佐伯 和子和泉 比佐子
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2000 年 8 巻 1-2 号 p. 5-12

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抄録

本研究の目的は, 高齢者を対象とした介護教室におけるグループワークのプロセス評価として, 参加者間の相互作用と個人的属性との関連要因を明らかにすることである.札幌市内および近郊の6つの老人クラブにおいて, 高齢者を対象とした介護教室を試み, そのなかでグループワークを実施した.2回の自記式質問紙により, 個人的属性とグループワークでの相互作用についてデータを得た.グループワークでの相互作用の項目は「他者からの学び」「自己の意見表出」「自己の有用感」「共有感」を指標とし, 参加者の自己評価を用いた.有効回答を得られた101名 (有効回答率84.9%) のデータについて分析を行った.対象の属性は男性37名 (36.6%) , 女性64名 (63.4%) , 平均年齢73.2歳であった.この結果, 「他者からの学び」「共有感」に関して5割以上の高齢者が高い自己評価を示し, グループワークは高齢者に有用な技法と考えられた.関連要因では, 活動能力, 教育歴, 介護への関心, 介護経験, 子どもとの同居の有無, 性別の項目と相互作用に関する項目との間に有意な関連を認めた.今後, 有効なグループワークを行うには, これらの要因を考慮して目標設定とグループ分けを行っていくことが重要と考えられた.

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