抄録
築堤土等の盛土材料は、土構造物の不安定化を防ぐため規定範囲内の粒度分布を有する材料を使用する
ことが求められる。一方、粒度試験は結果を得るまでにはおおむね1週間必要であり、大量かつ多種の土
質材料を使用する施工現場では、工程に影響を与えず短時間に盛土材料の粒度構成を把握できる試験手法
の開発が望まれている。
このような背景のもと、筆者らはこれまでに深層学習(ディープラーニング)による画像分析を試行し
てきており、高梁川水系小田川の堤防強化工事の施工現場でその試行の成果と分析を行う機会を得た。
本技術は円形のプレートを定規として添えた試料写真から20mm角の画像を200×200pixelで抽出し、改良
した畳み込みニューラルネットワークにて粒度分布を推論させるものであるが、施工現場でも簡単な作業
および短時間にて、おおよそ±5%の誤差で粒度分布を推定できることができた。