高知学園短期大学紀要
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食品成分含有量の分布と動向に関する研究(第6報) : グァバ果実について
中山 美津子桑原 豊子中山 喜代子
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1986 年 17 巻 p. 289-302

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抄録
最近, その豊富なビタミンCと美しい色調で注目されている, グァバ果実を用いて, 主なる無機成分と還元型ビタミンCを測定し, 分布型の決定を試み, ついで採取時期, 生育地域, 部位による動向を調べた.対象とした無機成分は, カルシウム, リン, 鉄, ナトリウム, カリウムおよびマグネシウムである.1.グァバ果実を分析して, 各種成分の分布型を決定した結果, カルシウム, リン, カリウム, マグネシウムおよび水分は, 直接測定値(実数値)において正規分布し, 鉄, ナトリウム, 還元型ビタミンCは対数正規分布を示した.2.各種成分含有量は, 採取時期, 地域, 品種, 部位により, かなりの変動巾があった.採取時期では, 春にはナトリウムの含有量が高く, リン, カリウム, 還元型ビタミンCの含有量は, 夏に少く, 秋に多かった.生育地別では, 伊野産に, カルシウム, 鉄, ナトリウムが多く, 野市産にはリン, カリウムおよび還元型ビタミンCが多く含まれている.品種別では, 白色種, 黄色種, 桃色種を比較した結果, 桃色種に, 鉄の含有量が高く, 黄色種に, カリウムと還元型ビタミンCが高い.特に還元型ビタミンCは, 他の品種の1.5倍以上の含有量を示した.部位別では, 無機成分は, 果心部に多く・還元型ビタミンCは, 果心<果肉<果皮の順に多かった.3.グァバ果実の還元型ビタミンCは, 高温, 長時間の加熱でも極めて安定で, 97℃, 40分の加熱でも約90%という高い保持率を示した.4.グァバ果実を室内で追熟させた結果は, 還元型ビタミンCは, 4日目までは急激に上昇し, その後あまり変化がない.糖度については, 4日目から上昇をみた.5.嗜好調査を行った結果, 生食より, 加工品が好まれ, 好みの順位は, (1)シャーベット, (2)ネクター, (3)ジャム, (4)生果, (5)ゼリーであった.終りに臨み, 試料を御提供下さった高知県グァバ研究会宮崎順一氏に深謝し実験に御協力いただいた西村明子, 板東里美の両氏に御礼申し上げる.また本論文の要旨は, 第32回目本家政学会中国, 四国支部総会(1985年10月)で発表したものである.
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© 1986 学校法人高知学園 高知学園短期大学
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