2012 年 42 巻 p. 55-66
本研究は、保育士の保育所看護職者への認識と期待する役割を明らかにするため、看護職者が配置されている保育所に勤務している保育士6名、看護職者が配置されていない保育所に勤務している保育士6名の計12名を対象に半構成的面接法を用いて質的帰納法的研究を行った。その結果、【子どもの日常的な健康管理】【健康問題への判断・対応】【専門性を活かした相談役】【専門性を活かした教育的関わり】【子どもの安心感】【専門性を活かした保護者支援】の6カテゴリーが抽出された。看護職者の有無に関わらず、保育士は病気の早期発見・異常の判断、急変時への対応など専門的知識、根拠に基づいた専門的対応を期待し、看護職者の存在そのものが保育士・保護者への安心感につながっていた。家族の養育力の低下が指摘されている現在、保育所にはさらなる子どもの健康支援、保護者支援が求められており、保育保健においては看護職者の存在が保育士への教育的役割を果たすとともにお互いの専門性を発揮することが保育の質の向上につながることが示唆された。