1951 年 17 巻 57 号 p. 42-45
振動方程式が線型の微分方程式で表わされる場合にはこの強制振動による解は強制力が非調和力の場合すなわちいかに複雑なる周期函数であっても, 強制力の項をFourierの級数に展開して調和力の合成したもので表わすことができればそれぞれの調和力による解を求めて, これを合成すれば得られるわけである.すなわちいわゆる重疂の原理は成立するのである.しかし非線型の振動となるともはやこの重疂の原理は嚴密には成り立たない.この問題に対する嚴密解はもちろん近似解も著者等の知る範囲ではその研究を見ないようである.ここにおいて不満足なる方法ではあるが逐次近似の方法をもってこれに対する近似計算を逐行し, その非線型特性によって重疂の原理の成立しない程度を見ようとしたものである.逐次近似の有する性質として非線型特性が著しく目立つ場合に対しては適用できない性質があるので, この計算結果は実用上大して有効とは考えられない.しかし実用的な近似解をうる一段階として定性的な結論が得られたのでここに報告するものである.