近畿理学療法学術大会
第50回近畿理学療法学術大会
セッションID: 112
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当院における訪問リハビリテーションの取り組み
*福島 隆久森 清子乾 亮介中島 敏貴
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抄録

【目的】 当院は回復期病棟を持たない平均在院日数11.2日の急性期病院であり、介護保険導入以前から退院直後からの訪問リハビリテーション(以下訪問リハ)を行っている。。退院時に入院中に獲得した能力を低下させないため、自宅での動作確認や指導、住宅改修の確認やフォローアップを行っている。2009年3月末に在宅医療を統括していた在宅医療推進室を閉鎖し、訪問リハのみ業務継続となったが訪問日などの大幅な縮小を余儀なくされた。同時期の診療報酬改訂により短期集中訪問リハビリテーション(以下短期集中訪問リハ)実施加算の導入となり、これを機に短期集中リハビリテーション実施加算の算定期間である3ヶ月を当院からの訪問リハの期間と位置付け、短期集中訪問リハに取り組んだ。今回当院での短期集中訪問リハの取組みとその前後の現状を報告し、問題点や今後の課題について述べる。 【方法】 当院の訪問リハ担当は理学療法士1名にて週2日のみ業務にあたっている。今回短期集中訪問リハの導入にあたり、まず退院前カンファレンスに訪問担当理学療法士が同席する事を徹底し訪問リハの目的、期間設定を明確化した。独自のフローチャートを作成し、短期集中訪問リハの適応、目的、期間についてリハビリスタッフ全員が把握することを徹底した。また限られた枠内で効率よくサービスを提供できる様に訪問チームで定期的に会議を行い検討している。患者様、ケアマネージャ(以下ケアマネ)、ケースワーカー等に訪問リハ内容を分かり易くするために「機能改善プラン」「環境適応/介護指導プラン」「介護サービスへの移行プラン」と命名し目的を統一した。 【結果】 期間は2008年4月1日~2010年3月31日とし短期集中訪問リハを導入する前後の年度(導入前:2008年度15件、導入後:2009年度13件)を調査し比較・検討を行った。平均訪問リハ実施期間は導入前119日、導入後30日。平均訪問リハ実施回数は導入前20回、導入後9回といずれも短期集中訪問リハ導入後は短期で終了となった。また平均入院期間も導入前68日、導入後40日と短縮している。訪問リハの目的は導入前「機能改善(60_%_)/ 環境適応(40_%_)」、導入後「機能改善(30_%_)/ 環境適応(70_%_)」であった。 【考察】 短期集中訪問リハ導入前は退院前カンファレンスに訪問担当理学療法士が同席しておらず、訪問リハの目的、内容、期間に関して本人、家族、ケアマネ、訪問担当理学療法士との間に意思統一が図れず、設定した期間内に目標達成しなかったケースも少なくなかった。これまで機能改善/維持の意味合いの強かった訪問リハも今回短期集中訪問リハを取り入れる事により退院前カンファレンスにて目的を明確化し漫然とした訪問リハを行わず、必要十分なサービスが提供できたと考えられる。これにより退院直後から訪問リハを積極的に行い、実際の場面(特に入浴動作、屋内/屋外移動など)で練習することができ生活圏・QOLの拡大が図れた。また在宅サービスの介入に難色を示していた利用者が、慣れたスタッフが始めに介入する事で他の在宅サービスにスムーズに移行することができた。 【理学療法研究としての意義】 今回訪問リハ業務縮小により訪問リハの必要な患者様全てに十分な退院後のサービスが提供できているとは言えない。また訪問リハ継続にあたり他の事業所との連携が多くなる一方、連携体制が整っていないため情報提供がスムーズに行えていないのが現状である。今後他の事業所との連携を図り、地域のネットワーク作りが必要と考えられる。サービス内容に関しても、ただADL獲得だけに留まらず実際に患者や家族に対して満足度調査を行い、我々が提供しているサービスについて客観的に評価する必要があると考える。

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© 2010 社団法人 日本理学療法士協会 近畿ブロック
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