抄録
本研究は、神戸市長田区と大阪府枚方市の都市部に住む介護認定者を対象に、健康寿命に影響を与える要因を調査したものである。介護施設や自宅でのヒアリング調査を通じて、他者との交流、運動、役割、日常の行動、生きがい・趣味などが健康寿命にどのように関連するかを分析した。健康寿命前に要介護2以上の認定を受けた人を「介護加速」、それ以外を「介護遅延」と分類し、身体障害要因と認知要因別に健康寿命との関連性を調査した。結果、身体障害要因ではコミュニティ活動への参加頻度や会話頻度、家族構成、役割(自治会役員や就業)、日常の行動(地域活動や散歩、読書など)が健康寿命に有意に関連していることが分かった。認知要因では運動頻度が健康寿命に有意に関連していた。重回帰分析の結果、身体障害要因群ではコミュニティ活動への参加、運動頻度、外出頻度、役割、日常の行動が健康寿命に有意に関連していることが示されたが、認知要因群では運動頻度のみが有意に関連していた。身体障害要因と認知要因に違いがあった。