抄録
本研究では,汚染物質が揚水井に流入する領域を集粒域と定義して,空間相関性を有する複数の透水係数分布に対する移流分散挙動をランダムウォーク粒子追跡法により解析し,集粒域の三次元確率空間分布を時系列で推定する方法を考案した.揚水井への粒子到達とトラベルタイムの算定,任意幅のアンサンブル格子の導入,既定時間内に集粒域になる格子確率の導出から構成されるアルゴリズムについて言及した.不均質性の異なる場に対して,三次元集粒域の時系列結果を提示するとともに,確率0.5以上の格子から成る三次元集粒域の体積は不均質度に依存せず,揚水量に依存することを示した.また,各格子の確率をエントロピーと関連付けて,不均質度の増加は非ゼロ確率から成る三次元集粒域の体積増加につながる点を定量評価した.