共催: 基礎有機化学連合討論会
以前に、我々はトリアリールアミンを基本骨格とするジアミンが溶液中でも安定なジカチオンジラジカルを与え、その電子状態は基底三重項であることを実験的に明らかにした。このジカチオンジラジカル種は室温で徐々に分解する。このような新奇な電子状態をもつ化学種は報告例が少なく、そのためそれらの分解生成物にも注目されていなかった。今回、この分解生成物の構造を明らかにするために、ジアミンを窒素雰囲気下、三等量の五塩化アンチモンと混合し三日間、15℃で撹拌した。得られた混合物を分離し、分解生成物の構造を検討したところ、二量化体ではなく、π系母骨格が開裂した誘導体が得られた。分子構造と開殻種の安定性の関係についても発表する。