抄録
我々はフェノールを硫黄で環状に結合したチアカリックス[4]アレーン(TCA)の化学修飾及び機能開発研究を行なっている。TCAは従来のメチレン架橋体と異なり架橋硫黄の化学修飾が可能であり,かつ架橋基の配位により様々な金属イオンと安定な錯体を形成できる。そこで,本研究ではTCAの二核チタン錯体を調製し,その触媒能を向山アルドール反応及びアルキンの環化三量化反応において評価した。また,TCAの酸化誘導体であるスルフィニル体のスルフィニル基を利用した二核ホウ素錯体の立体選択的合成にも成功したので併せて報告する。