抄録
ホスフィンの一電子酸化によって溶液中で生成するラジカルカチオンは、共存する化学種によってイオン反応とラジカル反応のどちらの反応も起こし得る。溶媒の関与を排除しホスフィンラジカルカチオンの本質的な反応性を探るため、イオンサイクロトロン共鳴質量分析計を用いEI法により発生させたトリアリールホスフィンラジカルカチオンの反応生成物を追跡した。その結果、アリール配位子のオルト位にメチル基を有するホスフィンラジカルカチオンでは、ラジカル中心がアリール基に非局在化していることが分かった。このことは、トリアリールホスフィンの幾何学的構造から説明できる。