抄録
一般的に分子内水素結合の安定性は溶媒など環境に依存するため、水中で安定なヘリックス構造をできるだけ少ない残基数のオリゴペプチドで構築するためには、分子内水素結合によらない規則構造の構築・安定化が重要である。今回、橋頭位である4位に置換基を導入することで立体反発によりシス-トランス平衡をシス体に偏らせることを意図し、光学活性なβ-アミノ酸を設計・合成し、そのホモオリゴマーの構造解析を行った。X線結晶構造解析、1D/2D-NMR解析、円二色性(CD)スペクトルの結果から、本オリゴマーのアミドのシス-トランス平衡はシス体に完全に偏っており、最小単位である2量体から8量体まで鎖長や溶媒に依存しない堅牢なシスアミドヘリックス構造を形成することが強く示唆された。