抄録
BDPI-2Yはトリフェニルイミダゾリルラジカル2分子を2位のベンゼン環で共有した非局在型のビラジカル分子である。われわれはその構造異性体及び置換基を導入した分子に関して報告しており、中央のベンゼン環の4箇所にフッ素を導入したtF-BDPI-2Yはトリフェニルイミダゾリルラジカルに類似した二量化を形成する。また、非対称に置換基を導入した系は立体的な構造変化なしにスピンの非局在化度に効果を与えることを見いだし、スペーサーによってラジカル間の相互作用及びスピン特性を制御することが可能であるといえる。今回、新たにスペーサーとラジカル間の平面性を立体的に崩すことがビラジカル特性に与える影響について報告する。