2010 年 2010 巻 61 号 p. 192-196
2009 年に北海道の施設栽培ホウレンソウ圃場から土壌を採取し,土壌中の微小昆虫等を捕食するトゲダニ目の発生状況についてツルグレン装置を用いて調査した.いずれの土壌からもトゲダニが抽出され,計7科9属11種が確認されたが,種類および発生量には圃場間差が見られた.出現頻度および発生量の面で目立ったのは,Hypoaspis sp.,アルストンホコダニParholaspulus alstoni,Ascidae sp.2,Cycetogamasus diviortus, Neogamasus sp. であった.堆積籾殻についても同様の調査を行い,土壌と共通の4 種を含む5 科6 属6 種を確認した.また,採取した土壌および籾殻試料に含まれるトゲダニを増殖させるため,実験室内で増殖したホウレンソウケナガコナダニTyrophagus similis を餌として与え温度20℃,日長16L8Dの条件で飼育したところ,上記トゲダニ種およびヘヤカブリダニNeoseiulus barkeri,キノボリホコダニParholaspulus arboreus, Ascidae sp.1,ヤマウチアシボソトゲダニHypoaspis yamauchii,ホソゲハエダニMacrocheles insignitus およびタイヒハエダニMacrocheles merdarius が確認された.これらの種はホウレンソウケナガコナダニを捕食する可能性が示唆された.