北日本病害虫研究会報
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報文
  • 岩舘 康哉, 西村 穂花, 福田 拓斗, 冨永 朋之, 森 万菜実, 藤崎 恒喜, 三澤 知央
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 1-7
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
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    In the summer of 2019 and 2020, leaf sheath rot and concomitant outer leaf death symptoms were found on four commercial Welsh onion fields in Iwate, Japan. Nine isolates obtained from diseased plants were identified as Rhizoctonia solani anastomosis group (AG)-1 IB, AG-4 HG-I, AG-4 HG-II, AG-4 hybrid subgroup between HG-I and HG-II, AG-5, binucleate Rhizoctonia AG-A, and Waitea circinata var. zeae (Asexual morph: Rhizoctonia zeae), based on cultural morphology, temperature-dependent growth characteristics, hyphal anastomosis reaction, and genome analysis using specific PCR, and rDNA-ITS sequences. In pathogenicity tests on Welsh onion seedlings, isolates of binucleate Rhizoctonia AG-A and W. circinata var. zeae were less virulent than R. solani AG-1 and AG-4 isolates. To the best of our knowledge, this is the first report of leaf sheath rot on Welsh onion caused by binucleate Rhizoctonia AG-A and W. circinata var. zeae.

  • 齋藤 隆明, 藤井 直哉, 渡辺 恭平
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 8-12
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    2018~2020年にネギ葉枯病またはさび病に対してネギに農薬登録を有する6~11剤の防除効果を検討するとともにさび病に対する残効性を評価した.その結果,葉枯病とさび病に防除効果が認められる薬剤はテブコナゾール水和剤,シメコナゾール・マンゼブ水和剤,葉枯病に防除効果が高い薬剤はピラジフルミド水和剤,さび病に防除効果が高い薬剤はアゾキシストロビン水和剤,インピルフルキサム水和剤であった.また,テブコナゾール水和剤についてはさび病に対する残効性が高かった.

  • 鎌田 拓郎, 五十嵐 秀樹, 大竹 裕規, 梶 和彦, 今給黎 征郎, 福重 幸, 原田 陽帆, 山形 敦子
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 13-18
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    キク白さび病に対する効果的な薬剤散布タイミングを判断する試みとして,小生子の形成条件等から日最低気温,日積算降水量,日平均風速から感染リスク値を設定し,高リスク出現日を目安に薬剤散布を行った.その結果,感染リスク値に基づく薬剤散布における発病葉率は品種「花の舞」(8月咲き)で1.3%,品種「ピース」(9月咲き)で24.7%であった.一方,生産現場で一般的に行われている週1回の薬剤散布を行った場合における発病葉率は「花の舞」では40.6%,「ピース」では58.8%であり,本防除方法は散布回数が一般的な薬剤散布より4~7回多くなったものの,発病葉率を低く抑えることができた.ただし,高リスク出現日が連続した場合,本防除法においても十分な防除効果は得られなかった.

  • 森 万菜実, 岩舘 康哉, 藤崎 恒喜, 三澤 知央
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 19-24
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    In June 2019, basal petiole rot of wasabi seedlings with withering symptom was observed in Iwate, Japan. Isolates from diseased tissues were identified as Rhizoctonia solani anastomosis group (AG)-2-1·Subset 2 and AG-2-1·clade HK on the basis of cultural morphology, temperature-dependent growth characteristics, hyphal anastomosis reactions, and DNA sequences of the rDNA-ITS region. Artificial inoculation with three isolates resulted in basal petiole rot and withering of wasabi seedlings. The occurrence of damping-off on wasabi caused by R. solani has been reported in Japan (Suzuki, 1976); however, details of AG and locations were not clarified. Since the AGs of R. solani causing this damping-off were initially found in Japan, we propose to the inclusion of R. solani AG-2-1·Subset 2 and AG-2-1·clade HK as one of the pathogens of the disease.

  • 森 万菜実
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 25-29
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    In June 2016, basal stem rot and underdeveloped broccoli growth occurred in two fields in Hokkaido, Japan. Two isolates obtained from diseased broccoli were identified as Rhizoctonia solani (anastomosis group) AG-2-1·Subset 1 and AG-2-2 IV on the basis of morphology of the cultured samples, temperature-dependent growth characteristics, hyphal anastomosis reactions, and result of PCR analysis with specific primers. In Japan, damping-off on young broccoli plants caused by Rhizoctonia solani AG-1 IC, AG-2-1·Subset 2, AG-2-2 IIIB, AG-4 HG-I, and foot rot of matured broccoli caused by R. solani AG-2-2 IV has been previously reported. We investigated the pathogenicity of the two isolates using three different growth stages of broccoli plants (3-week-old, 8-week-old, and 3-month-old). Inoculated 3-week-old and 8-week-old broccoli developed severe wilt. However, inoculated 3-month-old matured broccoli showed only basal stem rot without wilt symptoms. The observed symptoms and pathogenicity were coincident with that of the damping-off on broccoli. This is the first report of damping-off on broccoli caused by R. solani AG-2-1·Subset 1 and AG-2-2 IV in Japan.

  • 板橋 建, 進藤 友恵, 大坂 正明, 千葉 直樹, 鶴岡 莉子, 樫村 結友, 中村 茂雄
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 30-34
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    ほ場周辺におけるキュウリモザイクウイルス(CMV)の感染状況の把握と有用な分離株の探索を目的として,宮城県内2地点で自生する雑草等のCMV感染検定と感染個体からのウイルス分離を行った.農作物におけるCMVの発生が稀な調査地域においても感染雑草等が散在していること,同一地域の雑草等から得られたCMVは塩基配列の相同性は高いものの病原性が多様であり,比較的弱い病原性のものもあることから,雑草等は弱毒ウイルスの分離源としても活用できる可能性があると考えられた.

  • 八木橋 素良, 岩間 俊太
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 35-40
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    ダイズ黒根腐病は日本のダイズ栽培における重要病害の一つであるが,これまでに完全な抵抗性品種や卓効を示す農薬などは見出されておらず,安定生産に向けた新たな防除技術の開発が急務である.本研究では,液状亜リン酸肥料の葉面散布による本病の被害軽減効果を明らかにするため,2017~2020年に大型プランターを用いた接種試験において処理方法を検討し,さらに2019~2020年には自然発生圃場においてその効果を検証した.プランター接種試験の結果より,6葉期および開花期における液状亜リン酸肥料(商品名「サンカラー」)の葉面散布で,無散布に比較して発病が低く抑えられた.一方,青森県黒石市の1圃場およびつがる市の3圃場の計4圃場において液状亜リン酸肥料の6葉期葉面散布を実施したところ,散布区における重症株率は無散布区に比較し低下する傾向がみられ,被害軽減に有効であると考えられた.

  • 岩間 俊太
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 41-45
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    2019年および2020年に,ダイズ紫斑病菌の液体培養菌糸を接種源としたポット試験で生物検定を行い,本病農薬登録薬剤の防除効果を検討した.2019年には菌株AおよびBを供試し,アゾキシストロビン水和剤(Az剤)を2回散布した.その結果,無散布区での発病粒率が約5%の少発生条件下で,同剤の防除効果は菌株Aに対しては低く,菌株Bに対しては高かった.2020年には菌株Aを供試し,Az剤およびピリベンカルブ水和剤(P剤)をそれぞれ1または2回,ジフェノコナゾール乳剤(D剤)を1回散布した.その結果,無散布区での発病粒率が30%の多発生条件下で,各薬剤の防除効果はAz剤ではいずれも低く,P剤の1回散布では効果は認められるがその程度はやや低く,同2回散布では効果があり,D剤では効果が高かった.各薬剤の防除効果には供試菌株や散布回数の違いで差は認められたが,本方法による防除効果の判定は可能であった.

  • 中島 具子, 永峯 淳一, 森谷 真紀子, 齋藤 睦美
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 46-50
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    山形県におけるダイズ主要品種である「里のほほえみ」のべと病に対する罹病性について,他の品種との差異を山形県農業総合研究センター内圃場試験および現地圃場調査により検討した.2018~2020年に行った圃場試験において,「里のほほえみ」は「シュウリュウ」,「エンレイ」,「リュウホウ」に比べて葉の発病株率が高い傾向にあり,汚染粒率は有意に高かった.

    2018, 2019年に行った現地圃場の調査結果について,べと病汚染粒の発生の有無を目的変数,各要因を説明変数とするロジスティック回帰分析を行った.その結果,品種「里のほほえみ」は,他品種(秘伝,シュウリュウ,リュウホウまたはスズユタカ)に比べてべと病汚染粒の発生が多くなること,8月下旬に紫斑病対象のアゾキシストロビン水和剤が散布されていた場合,同剤無散布の場合と比べてべと病汚染粒の発生が少なくなることが示された.

  • 田中 文夫, 小澤 徹, 児玉 不二雄
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 51-55
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    北海道内で近年確認された新発生病原菌Tilletia controversaによるコムギなまぐさ黒穂病に対し,プロピコナゾール乳剤25とフルアジナムフロアブルの無人ヘリコプター散布の防除効果を検討した.黒色調査紙による薬剤の落下分散調査において無人ヘリコプター区の草冠部の付着量は多かった.防除効果に関しては,甚発生条件下の試験となったが.両剤の8倍液・800 mL/10 aの無人ヘリコプター散布は発生を著しく抑制し,その効果は同薬剤のそれぞれ750倍および1,000倍・100 L/10 aの地上散布とほぼ同等であった.北海道内に多く分布する秋期に湿潤・軟弱となる圃場においては本散布技術の利用によって,より効果的な防除が可能となる.

  • 七海 隆之
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 56-60
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    モモの生育期の落花直後および落花10日後頃に酸化亜鉛水和剤を連続で使用し,落花20日後頃と落花30日後頃に銅水和剤(炭酸カルシウム水和剤を加用)を連続使用またはいずれかの時期に使用した防除体系によるモモせん孔細菌病の防除効果を検証した.その結果,上記2剤を組み入れた3種の防除体系は新梢葉で防除価55.0~68.0,果実で80.5~91.5であり,対照の慣行防除体系(新梢葉での防除価56.8,果実での防除価62.1)と比較して新梢葉ではほぼ同等,果実では優る効果が認められた.

  • 松橋 伊織, 佐々木 裕二, 村上 大樹, 岩舘 康哉
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 61-66
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    岩手県内のピーマン産地では,L4打破系統のPMMoVによるピーマンモザイク病の発生が問題となっている.そこで,L4打破系統のPMMoVが発生した現地圃場において,本病の防除対策を検討した.はじめに,一次伝染対策として紙包み定植法を適用した場合の発病低減効果を検討した.その結果,本法を適用した場合,初発時期や圃場内でのまん延時期を遅延させる効果が認められたが,本法のみで収穫終了時期まで発病を抑制することは困難と思われた.そこで,本法に加えて発病株の抜き取りによる二次伝染対策を併用したところ,収穫終了時期まで高い発病抑制効果を維持できることが明らかとなった.さらに,紙包み法と発病株の抜き取りの併用は,複数年継続して実施することで,効果がさらに高まることを明らかにした.このことから,紙包み法はL4打破系統のPMMoVによるピーマンモザイク病に対しても有効な一次伝染対策であるが,その効果を高めるためには,二次伝染対策との併用が重要であることが示された.

  • 松橋 伊織, 佐々木 裕二, 村上 大樹, 中村 太紀, 岩舘 康哉
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 67-72
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    転炉スラグ(商品名「てんろ石灰」)を用いた土壌pH矯正による自根苗ピーマンでの青枯病被害軽減効果について,現地圃場において検討した.試験を実施した6事例についてメタアナリシスにより統合してリスク比を求めた結果,転炉スラグ処理区からみた無処理区に対する統合リスク比は,0.30(95%信頼区間:0.15–0.62)であり,誤差の範囲を含めて1.0未満であった.このことから,青枯病発生圃場において自根ピーマンを栽培する場合に,転炉スラグを用いて土壌pHを7.5程度に矯正することで,無処理での発病株率と比較して,被害をおよそ70%軽減できることが示された.また,転炉スラグを用いて土壌pHを7.5程度に矯正した場合においても,ピーマンの生育に対して負の影響は認められなかった.

  • 三澤 知央
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 73-78
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    From 2009 to 2017, a total of 10 isolates of Rhizoctonia-like fungi were obtained from various crops in Hokkaido, Japan. These isolates were identified based on number of nuclei per cell, hyphal diameter, culture appearance and sequences of the rDNA-ITS region. Five isolates obtained from diseased strawberry bud, tuberous root of yacon, basal petiole of potherb mustard, basal stem of alstroemeria and bulb of lily were binucleate Rhizoctonia AG-A. Two isolates obtained from leaf sheath of wheat were binucleate Rhizoctonia AG-DI. Two isolates obtained from Chinese yam root and leaf sheath of barley were binucleate Rhizoctonia AG-U. One isolate obtained from black oat leaf was Waitea circinata variety zeae. These results provide useful information on the diagnosis of crop diseases caused by Rhizoctonia spp.

  • 鎌田 拓郎, 松木 伸浩, 岸 正広
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 79-81
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    イネクロカメムシの室内飼育方法を確立するため,コムギ幼苗またはイネ幼苗を餌植物として飼育し,25 °C,16 L8Dの条件で比較試験を行った.

    コムギ幼苗を用いた場合,幼虫期間60.8日,羽化率65.4%,産卵前期間25.7日,卵期間7.3日であった.羽化成虫の体長は,雄成虫が9.3 mm,雌成虫が9.8 mmであり,野外採取個体の体長(雄9.4 mm,雌9.6 mm)と差はなかった.イネ幼苗を用いた場合,コムギ幼苗を用いた場合に比べ幼虫期間73.3日と長く,羽化率29.3%と劣り,羽化成虫の産卵は確認されなかった.

    これらの結果から,コムギ幼苗を用いることでイネクロカメムシを室内において簡易に累代飼育することが可能であることが明らかになった.

  • 吉田 雅紀, 猫塚 修一, 田村 恵里佳, 寺田 道一, 小原 あつ子
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 82-86
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    水稲品種「ひとめぼれ」での割れ籾発生に関与するリスク要因を明らかにするため,過去24年間(1997~2020年)に岩手県内の巡回調査ほ場で実施した割れ籾調査データおよびアメダスデータを用い,割れ籾の発生(割れ籾率10%超)の有無を従属変数,各要因を説明変数とするロジスティック回帰分析を行った.割れ籾の発生と有意な関連が認められた要因は,「減数分裂期の低温」と「登熟期間の高温」であった.

  • 松木 伸浩, 山内 富士男, 岸 正広
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 87-92
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    クモヘリカメムシは,分布域拡大が懸念されている斑点米カメムシ類である.これまで本種の捕獲事例がほとんどない福島県県北地方と相馬郡飯舘村の水田において,2020年に発生実態を調査した.その結果,これらの地域の水田でクモヘリカメムシが1世代を経過し,本種加害による斑点米被害が発生していることが明らかになった.県北地方は,本種の越冬可否に深く関与していると考えられている2月上旬の日最高気温の平均値4.7 °Cを超えた回数(2011~2020年)が多く,本種が定着していると考えられた.一方,相馬郡飯舘村でも本種が捕獲されたものの,越冬可能条件の発生回数が少なかった.この地域では,既に定着している近隣地域からの移動,侵入の可能性がある.

  • 松木 伸浩, 田渕 研, 舛谷 悠祐, 渡邊 朋也
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 93-98
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    The rice bug, Leptocorisa chinensis (Hemiptera: Alydidae),is distributed from south-western to eastern Japan. Recently, its northern limit has been expanding to Iwate Prefecture, Tohoku district. The distribution areas of this species may be closely associated with the temperature during the peak of winter. Two types of estimation method for describing the distribution areas based on the winter temperature were reported in Miyagi and Fukushima Prefectures. Those two methods were applied in estimating the potential distribution areas in eastern Japan other than Miyagi and Fukushima Prefectures. The prediction accuracy was evaluated using a receiver operating characteristic curve. Though the temperature threshold for predicting the existence of L. chinensis requires a more detailed study, these two estimation methods may be used for predicting the existence of this species in eastern Japan.

  • 新山 徳光, 髙橋 良知
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 99-103
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    秋田県内のアカヒゲホソミドリカスミカメとアカスジカスミカメのジノテフランに対する薬剤感受性検定を行った.局所施用法によるLD50値(半数致死量)を算出したところ,アカヒゲホソミドリカスミカメ雌成虫は0.17~0.65 μg/g(4地点),アカスジカスミカメ雌成虫は0.43 μg/g(1地点)で,ジノテフラン液剤の1,000倍液(常用濃度),2,000倍液,4,000倍液を供試して食餌浸漬法による殺虫効果を調査したところ,雌雄成虫とも4,000倍液でアカヒゲホソミドリカスミカメは100%,アカスジカスミカメは90%以上の補正死亡率であった.以上のことから,両種ともジノテフランに対する感受性の低下は確認されず,高い殺虫効果が期待できると考えられた.

  • 横堀 亜弥, 綿引 大祐, 吉松 慎一
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 104-109
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    Helicoverpa armigera is a major food-crop and vegetable pest. Severe damage of soybean by the species has been observed in Miyagi Prefecture. It is difficult to distinguish the early-middle instar larvae of H. armigera from those of Heliothis martima, usually present on soybean; thus, an identification method for the larvae was developed using their morphology and standard DNA barcoding. Therefore, distinguishing their first and second instar larvae was morphologically challenging; however, their third instar larvae were distinguished using the base of D1 setae on the abdominal segments, especially in A1 and A8 of H. armigera, which is large and conically protruded. In contrast, the base of H. maritima is small and almost flat. Finally, their larvae were distinguished by standard DNA barcoding (a part of mt COI [cytochrome c oxidase I] region).

  • 髙柳 春希
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 110-114
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    Kudzu (Pueraria montana var. lobate) is an Asian plant, which is also present in other countries and has become problematic. Attempts at the biological control of kudzu have been unsuccessful because of its unclear relationship with other species. This study examined the effects of a native leaf beetle (Pagria ussuriensis) on kudzu in Japan. It was revealed that P. ussuriensis damages kudzu leaves on the lower half of the stem, thus reducing plant water content. Furthermore, the feeding pattern of P. ussuriensis depends on the trichome density of kudzu leaves.

    Further study is needed to clarify whether P. ussuriensis functions as a biopesticide or is a pest of cultivated legumes.

  • 上野 清, 五十嵐 美穂
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 115-118
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    2020年9月に山形県鶴岡市内のビニールハウスで栽培されるミニトマトの果実に小斑点症状が発生し品質が低下した.圃場内にヒメナガカメムシが多発していたことから,健全果実に放飼試験を行った結果,症状が再現され,本種による吸汁被害であることが確認された.

  • 佐々木 大介
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 119-124
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    In “Catalogue of the insects of Japan, Volume 4 Paraneoptera” published in 2016, Hokkaido was excluded in the distributions of two aphid species, Lipaphis erysimi and Semiaphis heraclei. However, the literature and field surveys in this report revealed that both species are distributed in Hokkaido. Furthermore, in the field survey, the oviparous females of L. erysimi were recorded from Hokkaido for the first time, implying that the species overwinter in eggs in Hokkaido. Additionally, Aegopodium podagraria and Angelica edulis were recorded as the host plants for S. heraclei for the first time in the world.

  • 佐々木 大介, 古川 勝弘
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 125-129
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    Population dynamics of alate aphids were surveyed using yellow pan traps at two garlic fields (Pippu and Takikawa) in Hokkaido, Japan, in 2020. In the Pippu survey during the early spring to harvest season, the first capture of alate aphids was observed on May 28. In Takikawa during the same season, the first capture was observed from May 30 to June 4. Additionally, in Pippu, during the planting time to snow coverage, the last capture was observed from October 30 to November 1.

  • 佐々木 穣, 大澤 剛士
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 130-135
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    土着天敵による害虫抑制は,持続的なIPM体系の構築につながる重要な生態系サービスである.様々な環境に生息するクモは,害虫を抑制しうる土着天敵として有力と考えられている種群のひとつである.本研究は,土着天敵による害虫抑制の実現に向けた基礎情報として,青森県のゴボウ圃場において,クモの捕食に関わる機能数に影響する要因を検討した.6か所のゴボウ単作の圃場において,圃場周辺に生息するクモを捕獲し,採餌行動に基づく機能に分け,その数と周囲の景観構造との関係を検討した結果,地表徘徊性は全ての調査圃場で捕獲できた一方,造網性は森林に近い圃場でのみ捕獲された.限られたデータではあるものの,機能数と収量の間には負の相関関係があることも示唆された.これらの結果は,クモを利用した害虫抑制の実現に向けた重要な基礎情報になることが期待できる.

  • 加藤 真城
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 136-140
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    岩手県内のリンゴ園地の下草に生息するカブリダニ類を2018年から2020年まで3年間調査した.調査した全ての園でマクワカブリダニとケナガカブリダニを確認した.ミチノクカブリダニは少なかったが広く確認され,ミヤコカブリダニは県南部で若干確認された.最も多く確認された種はマクワカブリダニであり,本種はナミハダニを捕食することから,下草のハダニ類抑制に寄与することが期待された.

  • 中村 傑, 吉田 昂樹, 菅野 孝盛
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 141-144
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    2016~2020年にかけて福島県内のリンゴ園地から採集したリンゴハダニ22個体群に対する数種殺ダニ剤の効果を検討した.その結果,雌成虫では,BPPS水和剤,アセキノシル水和剤,ビフェナゼート水和剤,テブフェンピラド水和剤,シフルメトフェン水和剤,シエノピラフェン水和剤,ピフルブミド水和剤,卵では,スピロメシフェン水和剤の8剤で低い効果を示した.2009~2020年までの会津美里町および会津坂下町の地方防除暦に記載された殺ダニ剤の履歴を調査した結果,シフルメトフェン水和剤(記載回数7回)は10個体群中7個体群,ピフルブミド水和剤(記載回数3回)は11個体群中6個体群と検定した半数以上の個体群で低い効果を示した.一方,ミルベメクチン乳剤(記載回数12回)は,低い効果を示す個体群(9個体群供試)は認められなかった.

  • 中村 傑, 吉田 昂樹, 菅野 孝盛
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 145-147
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    2017~2020年にかけて福島県内のモモおよびナシ園地から採集したクワオオハダニに対する数種殺ダニ剤の防除効果を検討した.ミルベメクチン乳剤,アセキノシル水和剤,ビフェナゼート水和剤,テブフェンピラド水和剤,シフルメトフェン水和剤,シエノピラフェン水和剤,ピフルブミド水和剤ではそれぞれ供試した1~8個体群の雌成虫に対し高い防除効果が認められた.また,スピロメシフェン水和剤は供試した4個体群の卵に対して高い防除効果が認められた.

  • 中村 傑, 吉田 昂樹, 菅野 孝盛
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 148-153
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    福島県内の果樹産地におけるナミハダニの防除に有効な薬剤を選定するため,2017~2020年に県内のリンゴ,オウトウ,モモ,ナシ園地22地点から採集した雌成虫に対して9種類,卵に対する1種類の殺ダニ剤の効果を室内試験により検討した.その結果,雌成虫に対してミルベメクチン乳剤は供試した全ての個体群で高い効果を示し,BPPS水和剤,ビフェナゼート水和剤は多くの個体群で高い効果を示し,アセキノシル水和剤は試験した半数の個体群で高い効果を示した.一方,使用頻度が高かったことが想定されるシフルメトフェン水和剤および本剤と同一作用点であるシエノピラフェン水和剤,ピフルブミド水和剤は多くの個体群で低い効果を示し,クロルフェナピル水和剤およびテブフェンピラド水和剤についても,全ての個体群で低い効果を示した.卵に対してスピロメシフェン水和剤は多くの個体群で高い効果を示した.

  • 齊藤 太一, 齋田 亮介, 金成 裕子, 長谷川 由紀, 小川 和, 滑川 桃子, 伊藤 成美, 中村 茂雄
    2021 年 2021 巻 72 号 p. 154-158
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル 認証あり

    ほ場とその周辺林地等の土壌からベイト法を用いて分離した4属7種7菌株の昆虫病原糸状菌を用いて,菌糸伸長に対する農薬の影響を調査した.作用機作の異なる殺虫剤4種,殺菌剤10種について,実用濃度の薬剤を含む培地上での菌糸伸長を調査したところ,8殺菌剤と1殺虫剤はすべての供試菌に阻害を示した.このことから,ほ場やその周辺に生息する昆虫病原糸状菌には,多くの殺菌剤だけでなく殺虫剤の影響もあることを考慮する必要がある.

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