2017 年 2017 巻 68 号 p. 223-225
モモシンクイガの繁殖に及ぼす夜温の影響を明らかにするため,光周期16L8Dの条件下で明期を23°C とし,暗期の温度を11°C, 14°C, 17°C, 20°C及び23°Cとした区を設定し,成虫の交尾率,生存日数,産卵数などを調査した.暗期の温度が低いほど産卵盛期が遅く,総産卵数が減少した.総産卵数の減少には1個体あたりの産卵数の減少と,交尾率の低下が影響していると考えられた.明期に成虫の生理的な発育が促進されるような高温を経験しても,暗期の低温が産卵に大きな影響を与えることから,暗期の低温は成虫の生理的発育に関する側面だけでなく,行動的な側面にも影響していると考えられた.