北日本病害虫研究会報
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温暖化に伴うアカスジカスミカメの発生動向
大友 令史吉田 雅紀田村 恵里佳菅野 夢
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2024 年 2024 巻 75 号 p. 88-92

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抄録

変温動物である昆虫は,気象条件,特に外気温の直接的な影響を受けやすい.岩手県病害虫防除所による2005年以降の発生予察ほ場等のすくい取りデータにより,岩手県における斑点米カメムシ類の主要種であるアカスジカスミカメの発生動向について,その推移を検証した.岩手県においてアカスジカスミカメ越冬世代成虫の初確認はこの20年で早期化していた.また,8月の平均気温は,岩手県内においても過去16年で上昇傾向にあり,特に,9月の発生に対して8月の気温が影響することが示唆された.発生の早期化,温暖化の影響によると考えられる発育速度の高まりによる第3世代の発生量の増加は,アカスジカスミカメの発生期間の長期化につながり,後期加害が増加する可能性がある.

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© 2024 北日本病害虫研究会
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