北日本病害虫研究会年報
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秋田縣におけるイネヒメハモグリバエの發生經過と越冬
鈴木 忠夫湖山 利篤
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1955 年 1955 巻 Special3 号 p. 25-29

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抄録

秋田県の昭和29年におけるイネヒメハモグリバエの発生経過と越冬に関する調査の結果を総括すれば, 次のとおりである。
1. 掬取調査によつて, 水田における本種成虫の発生の山は, 苗代末期の5月下旬と移植直後の6月中旬と, さらに7月2半旬と5半旬との4回に亘つて発現した。
2. 一方雑草地の掬取りでは, 成虫の山が5月中旬・7月中旬・8月中旬・9月中旬に現われ, 水田のそれと異なつた。
3. 雑草地と水田の双方の発生型から, イネヒメハモグリバエの成虫は1年に7~8回も発生する可能性があると推察した。
4. また本種の室内飼育によつて, 卵から成虫までの発育日数は, 平均気温18℃の場合約27日間であるが, 野外で5~6月に成虫の山がほぼ25日間隔に現われることにほぼ一致した。
5. 室内飼育によつて温度と卵期間の関係をみれば限界最低発育温度は4.2℃であつて,(v-4.2) t=100 (tは卵期間, vは平均気温) によつて示される。
6. 越冬は一部分が蛹態で, 或るものは雑草葉内, 大部分が地上に落下したまま冬を過ごす。しかし一般には老熟した幼虫で, スズメノテツポウ・ヌカボ・マコモ等の葉肉内, 或いは葉鞘内で越冬することを確認した。

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