北日本病害虫研究会年報
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セレサン石灰の稲胡麻葉枯病防除効果におよぼす小粒菌核病の影響
深津 量榮柿崎 正平山 成一
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1958 年 1958 巻 9 号 p. 155-165

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抄録

1. 昭和28年以降の通計13回の圃場試験におけるセレサン石灰散布の胡麻葉枯病防除効果は, 試験年次, 試験地によつて著しい変異があり, 平均防除率も充分に高いものではなかつた。
2. 同試験において, セレサン石灰は併発の小粒菌核病に著しく高い防除効果を示していた。
3. セレサン石灰の稲体部位別散布試験によつて, 小粒菌核病の発病抑制は胡麻葉枯病の軽減にも役だつことがわかり, また逆に, 病菌接種試験によつて, 小粒菌核罹病稲の胡麻葉枯病に対する感受性は著しく高まることを確かめた。
4. 同様の方法で胡麻葉枯病が小粒菌核病におよぼす影響も認め得たが, その程度は軽かつた。
5. これらの点に着目し, 13回の圃場試験成績を再検討した結果, 標準区の小粒菌核病稈率とセレサン石灰の胡麻葉枯病に対する防除効果との間には, かなりの正相関があることを見いだした。
6. 以上からセレサン石灰の胡麻葉枯病防除効果の変動には, 小粒菌核病の併発程度がその一原因であるものと推定した。

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