北日本病害虫研究会年報
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水稲の早植栽培と病害との関係
徳永 芳雄太田 義雄
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1960 年 1960 巻 Special5 号 p. 35-41

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抄録

ビニル畑苗代による水稲の早植栽培と水苗代による普通栽培において病害の発生にどのような変化が起るかについて試験を行つた。紋枯病は早植栽培に発病が多く被害度も大であつた。特に初期の発生量が多く, 病斑の上昇も速かであつた。稲麹病も早植栽培に発病が大であつた。いもち病については年により結果が一致しなかつた。ビニルに畑苗代の苗は水苗代の苗よりいもち抵抗性が弱く, 従つて本田初期は早植栽培の方が弱くこの時期に温暖で早く発病期に入ると早植栽培に多発生し, その影響は収穫期まで及ぶことがある。しかしいもち病の発生が遅れるような年には早植栽培の稲は抵抗性を穫得して普通栽培に比し発病が少なくなると推察された。枝梗いもちのみは常に早植栽培に多かつた。この原因は早植栽培は出穂が早く成熱期が温暖なためであろう。早植栽培と普通栽培のいずれにいもち病が多いかは本田初期の気象に大きく支配されるようで, 春季暖かな年には早植栽培いもち病が多発する危険があり, 初期に充分な防除を行うことが大切である。

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