北日本病害虫研究会年報
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1960 巻, Special5 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 田中 一郎, 成田 武四, 森 芳夫
    1960 年 1960 巻 Special5 号 p. 1-3
    発行日: 1960年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 桑山 覚, 遠藤 和衛
    1960 年 1960 巻 Special5 号 p. 4-7
    発行日: 1960年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 橋本 保, 千葉 末作, 平間 貞夫
    1960 年 1960 巻 Special5 号 p. 8-16
    発行日: 1960年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    1. 水稲早植栽培がいもち病, 稲紋枯病の発生に及ぼす影響について, 標準栽培, 遅植栽培と比較検討した。
    2. 葉いもちは田植時期による発病に差は認められないが, 早植の場合は初発が早い。
    3. 葉鞘裏面接種法による田植時期別の稲の被害度は苗代末期より本田初期にかけて, 早植区が標準植区より多いが, 葉いもちの初発生する時期には, この差は認められなくなる。
    4. 頸いもちの場合は田植時期別による差は認められないが, 節いもちの場合は遅植が少発の傾向であり枝梗いもちでは反対に多発の傾向がある。
    5. 稲紋枯病は5月15日頃までの早植は, 早植するほど多発するが, 5月1日植のように, 極早植するとこの傾向は不明瞭になる。
    6. 早植区に稲紋枯病が多発するのは, そのうつぺい密度が高いことも一原因のようである。
  • 渡部 茂, 工藤 三郎
    1960 年 1960 巻 Special5 号 p. 17-21
    発行日: 1960年
    公開日: 2011/11/08
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    1. 本報告は1957年および1958年に実施した早植栽培と稲紋枯病発生との関係について1, 2の実験した結果を記述した。
    2. 1957年は早植栽培と普通栽培で本病の発生経過について比較調査した。それによると圃場における発病程度は全般的に低く, 発生の初期には明かな差異はみられなかつたが, 後期になると被害茎率, 被害度とも早植栽培区が高かつた。
    3. 1958年は蔓延初期と最盛期にビニル幕で稲株を包囲して高温湿度処理を施して早植, 普通植両区の発病状況を調査した。その結果, 無処理では早植区が被害茎率, 被害度とも普通植区よりやや高かつた程度であるが, この温湿処理を行つた場合は早植, 普通植区とも発病程度が高かつた。処理時期別では, 前期処理では早植区は処理直後から被害茎率, 被害度の増加がみられたが, 普通植区では増加がみられない。後期処理では早植, 普通植両区で被害茎率, 被害度が増加した。総じて早植, 普通植区とも前期処理より生育の進んだ後期処理の場合に増加の程度が大であつた。
    4. 蔓延初期に株間, 茎間の微細気象を調査した結果, 気温では地上5・20cmとも昼間は普通植区が高く, 夜間は早植区が高い。昼夜の較差は普通植区が大であつた。
    5. 水温は昼夜とも普通植区が高かつた。
    6. 湿度は昼夜とも早植区の方が高かつた。また, 地上5・20cmでは5cmの方が常に高い結果を示した。昼夜の較差は地上20cmの場合で大であつた。
    7. 晴天日と曇天日で比較すると, 最高気温は晴天日15時, 曇天日12時に記録された。また, 湿度も晴天日15時, 曇天日12時に最低値が記録された。この傾向は地上5・20cmとも同様であつた。
  • 小林 次郎, 三浦 竹治郎
    1960 年 1960 巻 Special5 号 p. 22-26
    発行日: 1960年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    1. 早期栽培と普通栽培における紋枯病の発生状況を調査比較した。
    2. 初発生時期については, 両栽培間に差異なく, ほぼ同時期に認められた。これは気温が制限因子となつていたためと考える。
    3. 初発生後の病勢進展は収穫期まで早期栽培に著しく, 被害度も高い。
    4. 初発生後, 病勢ははじめゆるやかに, のち急激に進展する。この進展開始時期は早植栽培が普通栽培より早い。とくに, 急激な進展時期は両栽培ともに穂孕期以降にみられた。
    5. 出穂前, 早植栽培に発病が多いのは発病株率, 株内発病茎率ともに高い綜合結果である。
    6. 普通栽培の病勢が株内においてその後急激に進み, 収穫期には早期栽培とほとんど差異がみられなくなる。したがつて少くともこの発病株内の観察からは両栽培における出穂以後の発病差が西南暖地でいわれるところの気温低下によるものとは考えられない。
    7. この出穂以後の発病差は現象的には発病株率の差異によるものではあるが, これについてはなお検討を要する。
  • 徳永 友三, 茨木 忠雄, 角間 文雄, 太田 六郎, 松本 利雄
    1960 年 1960 巻 Special5 号 p. 27-34
    発行日: 1960年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 徳永 芳雄, 太田 義雄
    1960 年 1960 巻 Special5 号 p. 35-41
    発行日: 1960年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    ビニル畑苗代による水稲の早植栽培と水苗代による普通栽培において病害の発生にどのような変化が起るかについて試験を行つた。紋枯病は早植栽培に発病が多く被害度も大であつた。特に初期の発生量が多く, 病斑の上昇も速かであつた。稲麹病も早植栽培に発病が大であつた。いもち病については年により結果が一致しなかつた。ビニルに畑苗代の苗は水苗代の苗よりいもち抵抗性が弱く, 従つて本田初期は早植栽培の方が弱くこの時期に温暖で早く発病期に入ると早植栽培に多発生し, その影響は収穫期まで及ぶことがある。しかしいもち病の発生が遅れるような年には早植栽培の稲は抵抗性を穫得して普通栽培に比し発病が少なくなると推察された。枝梗いもちのみは常に早植栽培に多かつた。この原因は早植栽培は出穂が早く成熱期が温暖なためであろう。早植栽培と普通栽培のいずれにいもち病が多いかは本田初期の気象に大きく支配されるようで, 春季暖かな年には早植栽培いもち病が多発する危険があり, 初期に充分な防除を行うことが大切である。
  • 板垣 賢一
    1960 年 1960 巻 Special5 号 p. 42-46
    発行日: 1960年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 渡辺 忻悦
    1960 年 1960 巻 Special5 号 p. 47-51
    発行日: 1960年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    本報では, 1958, 1959の両年にわたつて試験した, 早植栽培した稲の品種とニカメイチユウ第1化期の加害ならびに収量との関係について報告した。その結果を摘要すればつぎのとおりである。
    (1) 加害は品種によつてちがう。穂重型の藤坂5号・チヨウカイ・農林17号は, 穂数型の農林41号・ギンマサリ・ハツニシキよりも心枯の出現率が高い。
    (2) 品種によつて加害程度のちがう原因は幼虫の密度に関係があり, 一般に穂重型の品種は幼虫数が多く加害も多いが, 穂数型の品種は幼虫数が少なく, 加害も少ない。
    (3) 加害と被害との関係は藤坂5号>チヨウカイ>ハツニシキ>農林41号>ギンマサリ>農林17号で, 農林17号が最も補償力が強い。
    (4) 穂数型の品種は全般に加害が少なく, 補償力が強くあらわれる。早植栽培では穂重型の品種を導入する場合には特に防除に対して留意する必要がある。
  • 布施 寛
    1960 年 1960 巻 Special5 号 p. 52-59
    発行日: 1960年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    同一圃場において, ハツニシキ・農林41号の2品種を供試し, 早植栽培による害虫群集の構成推移, 水稲の被害を調査した。
    1. 発生した害虫の種類は早植, 普通植ともハツニシキは11種, 農林41号は早植11種, 普通植は10種であつた。
    2. 害虫群集の構成と推移は, 初~中期発生害虫は概して早植区, 品種では生育の早い早生のハツニシキに多く, 後期発生害虫はその逆で普通植区, 品種では中生の農林41号に多くなる。
    3. 優占種の時期別推移は早植区は両品種とも, アブラムシ・ドロオイムシ→第1化期メイチユウ→カラバエ→第3化期アオムシ・ウンカ類→第2化期メイチユウで, 普通植区ではドロオイムシに始まつて早植区と同一の経過をたどる。
    4. 初期のゾウムシ・ハモグリバエ・ヒメハモグリバエ, 中・後期にあらわれるヨコパイ類は優占種とはなり得ない。
    5. ドロオイムシ・ハモグリバエ・ゾウムシの被害は早植区では田植後10日目位の5月下旬, 普通植区では6月5日頃から被害がみえ始めるが, ハモグバエ・イネゾウムシの被害は新葉の発生と被害葉の枯死により7月10日頃に消失したが, ドロオイムシの加害め盛期は6月下旬から7月下旬で, 特に早植区では株だえ寸前のものもあつた。
    6. ニカメイチユウの被害は心枯茎はいずれも6月21日頃からあらわれ, 概して早植区のハツニシキに多く, 2化期は逆に普通植区の農林41号に多くなつた。
    7. カラバエの被害は品種間・栽培型間に差はなかつた。
    8. 水稲の生育は両品種共早植, 防除区の方がまさる。
    9. 収量は多いものから早植防除区>普通植防除区>早植無防除区>普通無防除区の順で, これは3.3m2当り総穂数に比例する。
    10. 早植の効率, 防除の効率はほぼ同程度で共に約14%であつた。
    11. 収量の増加は早植による穂数の確保, 穂重の増加及び栽培型よりも害虫防除による穂数, 穂重の増加によるものと思われる。
  • 柴辻 鉄太郎, 平尾 重太郎, 菊地 実
    1960 年 1960 巻 Special5 号 p. 60-103
    発行日: 1960年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 鐙谷 大節
    1960 年 1960 巻 Special5 号 p. 104-107
    発行日: 1960年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    以上各県の報告をまとめて考えると, 早植にしたから特に発生したという新しい病害はない。従来でていた稲紋枯病の様相が変つて発病の進展も早く被害も進むことは認めなければならない。しかし本病には既に特効薬も見いだされ, 散布時期についても検討が行われ実用普及に至つているのであえて心配はない。
    いもち病については畑苗が水苗に比し, 挿秧当初はやや感受性が高いので, 田植初期発病をみるような年には注意する必要がある。しかし普通の年であれば自然発病は田植直後にはなく, 6月下旬~7月上旬であるので, この時は畑苗も水苗と同等の抵抗性になつているから, 特に恐れる必要はないようである。頸いもちについては, 早植・普通植できまつた傾向はなかつたようであり, むしろ出穂期前後の気候を重視して対処しなければならないようであつた。
    他の病害についても特に警戒すべきものはみ当らなかつた。このことは逆に考えると, 報告の表面には出なかつたが, 普通植ならば東北地方では必らず防除の対照となる苗代病害, 殊に稲苗腐敗病については完全に警戒を解消したことであり, 早植が畑苗に由来する点より黄化萎縮病の苗時代の感染も除かれている点は重視すべきである。ただ今後は苗代様式の変化により, 種籾に由来する病害, すなわち苗いもち・稲馬鹿苗病・苗立枯病等が特異的に発生する可能性は考えられるので, 種籾消毒は従来にまして励行する必要がある。
    以上諸病害の対策を考えておくことが, 早植栽培の長所を生かし発展する道であろう。
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