北日本病害虫研究会報
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イネ馬鹿苗病を対象としたチウラム・ベノミル剤による催芽前の種籾消毒法
小林 次郎
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1975 年 1975 巻 26 号 p. 14-19

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抄録

チウラム・ベノミル剤による馬鹿苗病の種籾消毒効果に対する水洗の影響は消毒法や水洗の強さによって異る。
浸種籾, 乾籾長時間浸漬法では水洗の影響を受けやすく, このため48時間の薬液浸漬を必要とする。消毒後の水洗を前提にすると浸種籾長時間浸漬法の場合, 薬液濃度を50~2000倍にしても, 浸漬時間を48時間以上かなり延長してもその効果は変らず, いずれもウスプルン1000倍液24時間浸漬と同等の消毒効果である。ウスプルン程度の効果を是認すれば現行の使用濃度400倍をもつと低くめてもよい。
浸種籾を短時間浸漬した後, 2日放置する消毒法でも上と同様の消毒効果を期待できる。
乾籾短時間浸漬法では, 浸漬後薬液を切って2日放置すれば水洗の影響を受け難く効果も著しく高い。現行の使用濃度20倍をもっと低くめることも可能である。本消毒法が水洗の影響を受けにくいのは, 2日放置中に種籾が水分を吸い取り, 薬剤が籾殻に乾燥固着するためと考えられる。したがって著るしく強い水洗を加えればやはり効果が減退する。

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