北日本病害虫研究会報
Online ISSN : 2185-4114
Print ISSN : 0368-623X
ISSN-L : 0368-623X
東北農試鍋屋敷放牧地におけるアブ類の牛体寄生消長と殺虫忌避剤の牛体噴霧による吸血昆虫類の防除効果
早川 博文高橋 久男菊池 武昭宍戸 弘明
著者情報
ジャーナル フリー

1976 年 1976 巻 27 号 p. 21-26

詳細
抄録

東北農試鍋屋敷放牧地において, 1965年夏に, 放牧牛に寄生するアブ類の消長を調査し, また殺虫忌避剤ネオキクトール乳剤 (D) の牛体噴霧による吸血昆虫類の防除効果について, 黒毛和種の育成牛10頭を供試して放牧試験を行なった。
1. 牛体に寄生したアブは3属13種で, そのうちニッポンシロフアブとアオコアブの2種が優占種となり, ついでヤマトアブ・キスジアブ・ホルバートアブ・シロフアブ・ウシアブが比較的多く寄生した。
2. 放牧牛に寄生するアブ類の消長は7月中旬以後に漸増し, 8月中旬に最高に達し, それ以後では漸減の傾向がみられた。アブの種別の寄生時期および寄生のピークの出現する様相には明らかな違いが認められた。
3. 連日にわたる殺虫忌避剤の牛体噴霧により吸血昆虫類の牛体寄生は殆んどみられなかった。しかし放牧牛の体重増加の面では, 処理群は殺虫忌避剤を噴霧しなかった無処理群と全く同じで, 吸血昆虫類を防除した効果がとくに認められなかった。
4. 臨床並びに血液性状については, 全般的には処理群と無処理群の間に明らかな差が認められなかった。しかし採食量の面では, 処理群が比較的少なく, とくに放牧中期には無処理群よりも有意に少なかったので, 殺虫忌避剤そのものの畜体に及ぼす影響についてさらに詳しく試験する必要があった。

著者関連情報
© 北日本病害虫研究会
前の記事 次の記事
feedback
Top