抄録
アブラナ科野菜根こぶ病菌に汚染された圃場を供し, ハクサイ根こぶ病に対する熱水注入による土壌消毒効果を検討した。約70℃の熱水を, 圃場全面及び畦面に深さ20cm層が55℃になるまで注入した区のハクサイの生育・収量は, 無処理区より著しく勝り, クロルピクリン注入区 (以下クロピク注入区) と大差がなかった。根こぶ病は播種後24日目ではいずれの区も発生が認められなかったが, 播種後33日目では無処理区, クロピク注入区, 熱水全面注入区にそれぞれ13%, 5%, 2%の発生株が認められた。播種後88日目の収穫時における発生程度は, クロピク注入区>>無処理区>熱水畦面注入区>>熱水全面注入区の順であった。また, クロピク注入区と熱水注入区では発芽期でのヨトウムシ類による被害が無処理区より極めて少なく, 熱水注入による殺虫効果も認められた。汚染土壌を温湯浸漬処理したポット栽培試験では, 各処理区の発生程度は無処理区よりいずれも減少したが, 発生が全く認められなかったものは55℃: 240分処理区だけであった。