北日本病害虫研究会報
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交信かく乱剤を処理したリンゴ園におけるモモシンクイガ (Carposina sasakii) 用改良型ルアーによる発生予察法の検討
相原 隆志荒川 昭弘豊島 真吾望月 文昭
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2006 年 2006 巻 57 号 p. 208-210

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抄録

交信かく乱剤を処理したリンゴ園において, 改良型ルアーのモモシンクイガ誘引能力と被害果率を調査した. 改良型ルアーは, (1) 本種の性フェロモン第1成分 ((Z) -13-eicosen-10-one) 100mg, (2) 第2成分 ((Z) -12-nonadecen-9-one) 2.5rng, (3) コドリンガの誘引性があるethyl (E, Z) -2, 4-decadienoate 1.5mgを含浸した3っのゴムキャップで構成される. 本種が多発した3園では, 改良型ルアーにはそれぞれ123頭, 46頭, 39頭が, 予察用ルアーには2頭, 10頭, 6頭が誘殺された. このうち無袋栽培の2園では被害果率が30%を超えた. 少発生の3園では, 改良型ルアーにはそれぞれ2頭, 1頭, 1頭が誘殺されたが, 予察用ルアーには誘殺されなかった. 被害果率は3園とも1.0%未満であった. 以上から, 改良型ルアーは交信かく乱剤処理下でも本種に対する強い誘引能力を示し, 誘殺総数が40頭を超えると甚大な被害が生じるという指標が得られた.

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