北日本病害虫研究会報
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宮城県におけるイネ稲こうじ病の発生に影響を及ぼす要因の解析
笹原 剛志三上 綾子畑谷 みどり
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2008 年 2008 巻 59 号 p. 18-21

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抄録

2003年に宮城県内のある地域を対象に, 圃場毎の稲こうじ病の発生状況と圃場の耕種概要を調査し, この結果を基に, 稲こうじ病の発病株率変動要因を, 後向きコホート研究, 症例対照研究の手法で, 数量化I類により解析した. 解析には, 目的変数として各圃場の稲こうじ病発病株率を, 説明変数として圃場規模, 移植日, 品種, 基肥量, 追肥の有無, 堆肥施用の有無, 前年転作の有無, 防除の8要因を用いた. その結果, 最も影響が大きかったのは移植時期であり, 未熟堆肥の施用, 薬剤防除の有無などがこれに続いた. また前年転作した復元初年目の圃場で有意に発生が少なかった. 移植日や品種の影響については障害不稔に伴う稲体窒素濃度の増加や出穂期の違いによる感染好適条件の遭遇回数の違いが想定された. 転作の有無は, 稲体窒素濃度の上昇に伴う感受性の増加とは矛盾することから, 稲こうじ病の伝染源が圃場に存在し, 前年の転作による伝染源の減少が示唆された.

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