北里大学一般教育紀要
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原著論文
高等学校における学級経営
鈴木 文雄
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2010 年 15 巻 p. 147-157

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抄録

 教育は、教育基本法に示されているように、⌈人格の完成を目指し、平和で民主的な国家社会の形成者としての必要な資質を備えた身心ともに健康な国民の育成を期しておこなわれなければならない⌋ものである。高等学校においても、教育基本法や学校教育法の目的に照らし、生徒の実態等を踏まえて各学校ごとに⌈教育目標⌋を定めることになる。  
 各学校の教育目標を達成するために編成されるのが教育課程であり、その編成は校務の中でも最も重要なものである。また、生徒が学校生活を送る上での基盤となるのが学級であり、学級での生活・活動は有意義な高校生活を送る上で極めて重要な要素であることから、生徒を主体にした真摯で工夫を凝らした学級経営のあり方が問われることとなる。  
 一学級40人の個々の生徒を適切に指導することは容易なことではなく、自ずから限界もあると考えられる。従って、他の教師との連携の下、情報交換を密にして学級経営にあたる必要がある。また、高校生の発達を理解することは、生徒理解の第一歩であり、学級経営を軌道に乗せ、生徒の成長を支援するために欠かすことのできないものである。  
 この時期の発達の特徴としては⌈身体的発達⌋、⌈知的発達⌋、⌈対人関係の変化⌋、⌈自己意識の発達⌋等を挙げることができる。教師はこのような特徴をよく理解してさまざまな面での指導に生かしていかなければならない。
 学級担任は生徒に接する時間が最も多いことから、生徒理解面で多くの利点を有している。しかし、逆にそのことで生徒をよく理解したかのような錯覚に陥る場合もある。学級経営のまさに基盤である、生徒と教師の信頼関係を損なってしまうことのないよう、初心を忘れることなく生徒に接していかなければならない。初心とは、⌈生徒の話に耳を傾ける⌋」ことであり、すべての生徒に⌈愛情を持って接する⌋ことである。

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