2023 年 8 巻 2 号 p. 34-35
筋ジストロフィーにより日常生活動作(ADL)全介助の状態でありながら,大学卒業を目指すA氏の生活は,母の介護を軸に支えられてきた.こうした難病患者にとっても重症化リスクの高い新型コロナウイルス感染症は,親子の不安を増強させ,介護を支える関係者との繋がりを希薄にさせ,母の介護量は増大し在宅生活を困難にさせた.コロナ禍という危機の中で,医療や福祉のチームによる連携が,地域作りや意思決定支援の展開に繋がった.近年,障害者を支える制度や機関は大変多くなったが,こうした重度障害者の地域生活自体が,新しい時代の社会を創る現代型自立生活運動といえるのではないか.