新型コロナウイルス感染症（COVID-19）は，2019年1月に日本で最初の患者が報告されて以後，高齢者を中心とした成人患者数の増加があり，2021年の7月から9月にかけてのデルタ株感染の流行時期は，小児でも感染者数の著明な増加を認めた．小児の神経筋疾患患者のCOVID-19感染例に関する報告は，海外の論文を中心に，健常な児の臨床像と大きく差がないとするものが多いが，個々の小児神経筋疾患COVID-19罹患例に焦点を当てた報告はない．
当院で，小児DMDの1家族，FCMD2家族の罹患例を経験したので報告する．小児の筋ジストロフィー患者におけるCOVID-19の臨床像は既報告と矛盾なく軽症であり，重症度は基礎疾患によらず，年齢に依存した機序が大きいと考察した．一方で，ADLが自立しておらず，移動や食事に介助を要する小児の筋ジストロフィー患者においては，主介護者やその家族がCOVID-19に罹患した場合の課題が明確となった．
