日本航空宇宙学会誌
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IKAROSのソーラーセイル膜面開発(<特集>小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS(イカロス)」 第3回)
遠藤 達也横田 力男宮内 雅彦三桝 裕也松本 純船瀬 龍白澤 洋次森 治津田 雄一
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2012 年 60 巻 11 号 p. 413-420

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抄録

本稿は,世界初のソーラー電力セイルであるIKAROS(Interplanetary Kite-craft Accelerated by Radiation Of the Sun)のソーラーセイル膜面の構成,その製作法,そして実際の製作の流れについて述べたものである.IKAROSのソーラーセイル膜面は,2種類のポリイミドによるベースフィルム上に,薄膜太陽電池や液晶デバイスをはじめとする各種デバイスを搭載する構造となっている.差し渡し20mの大きさを持つIKAROSのソーラーセイル膜面は,多数の試作モデルの製作を通じて確立した製作法により,ハンドメイドで製作された.その後,IKAROSは2010年5月21日に打ち上げられ,続く2010年6月9日に軌道上でソーラーセイル膜面の展開を完了した.展開後に撮影されたカメラの画像から,ソーラーセイル膜面は亀裂が発生することなく完全に展開できていること,ソーラーセイル膜面を構成する各構成要素が所定の機能を果たしていることなどが確認されている.また,その後の運用により,IKAROSのメインミッションの他に,各種デバイスの経年劣化に関するデータも取得できている.

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© 2012 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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