抄録
広範にわたる様々なサブシステムを組み合わせた巨大システムであるロケットシステムは,その開発において,地理的に分散された拠点間の複数のメーカとの協働で進められる.その開発チームの中では,複雑なサブシステム間のインタフェース情報や設計・製造・検査・試験等などの膨大な技術情報を,適時的確に共有することが開発遂行上きわめて重要である.ロケットの開発期間は約10年程度かかるのが通常であるが,イプシロンロケットの開発期間は約3年と非常に短い.膨大な技術情報の適時的確な共有と短期間での開発を両立させるため,ITを駆使して,技術情報に対する全体俯瞰性,アクセス性,入手性を大幅に改善させ,開発効率を抜本的に向上させる情報化システムを開発・適用することとした.本稿では,本情報化システムの特長,それを実現するための体系化方法やシステム構成について概説する.