日本航空宇宙学会誌
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救援航空機の統合運用システム開発と今後の展望(<特集>安全・安心な社会の実現に向けて~航空宇宙分野の更なる貢献のために~ 第2回)
小林 啓二
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2015 年 63 巻 11 号 p. 350-354

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抄録

平成23年に発生した東日本大震災では,多数の航空機が救援活動に従事した.一方,一般に災害発生から72時間が経過すると被災者の生存率が激減すると言われているが,同震災においては救援航空機,特にヘリコプタによる初動時の迅速な救援活動を妨げる要因も顕在化した.宇宙航空研究開発機構(JAXA)は,総務省消防庁,自治体消防,災害派遣医療チーム(DMAT)等の災害対応機関と連携して大規模災害時における救援航空機の安全かつ効率的な運航管理を実現する技術の研究開発を進めており,消防防災ヘリやドクターヘリ等の実運用下での評価実験を実施してきた(「災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)」の研究開発).平成25年度からは,このD-NETを発展させ,航空宇宙機器(航空機・無人機・人工衛星)の統合的な運用による災害情報の収集・共有化,及び航空機による救援活動を支援する「災害救援航空機統合運用システム(以下,本システム)」の研究開発を進めている.本稿では,救援航空機の運用課題を整理し,安全かつ効率的な救援航空機の運用を実現する本システムの研究開発状況と今後の展望について紹介する.

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© 2015 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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